続いて、ロジャーが「輝ける日々」を切々と歌い始めた。スクリーンには1970年代に来日した際の懐かしい映像が流れる。まさに輝ける日々。ロックの貴公子と呼ばれた若き日の彼らの姿を見ていると、何ともいえず人生を感じる。フレディも若い。ジョンもいる。周囲の観客の多くが涙している。同じような演出が、2005年の来日公演でもあったし、同じように観客は泣いていたけれど、あのときとはまた違った感慨があった。

アダム(中央)はフレディの代役をしっかりと務めた(C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

「ボヘミアン・ラプソディー」や「伝説のチャンピオン」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」をはじめ、「地獄へ道づれ」「RADIO GA GA」「愛という名の欲望」「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」「アンダー・プレッシャー」など、この日演奏された曲の多くが、半世紀、1世紀後にも残っていくことだろう。そういえばベートーベンやモーツァルトをはじめ、クラシックの名曲は楽譜が残り、今も演奏され、研究され、愛聴されてきている。しかし、こうした20世紀のロックの名曲はどのような形で受け継がれていくのだろうか。それを考える意味でも興味深いステージだった。

ジャズのスタンダードのように、様々なミュージシャンが自分なりのアレンジで弾き、歌い継ぐという道もあるだろう。しかし、例えばクイーンの曲でいえば、ブライアンのギターがあってこそ成り立つという面もある。この日も彼の独特の音色、演奏スタイルがあるからこそのクイーンサウンドなのだと改めて感じた。ロジャーのドラミングやコーラスにしてもしかりである。それ以前に、フレディが歌わなければクイーンではないという意見もあるだろう。

この日、アダムはフレディの物まねをしたわけではない。彼なりの歌い方でクイーンの曲に挑んだ。それでもスタジアムには、往年の名曲の数々がみずみずしくよみがえり、2014年の今の空気の中で確かな輝きを放った。それはフレディがいなくても、ブライアンとロジャーがいたからなし得たマジックなのか、彼らすべてがこの世を去った後の時代にも実現できることなのか。

この日はまさに大ヒットパレードで、クイーンの熱心なファンでなくても知っている曲が多く、十分に楽しめる内容だっただろう。ただ、今回の来日公演は、この日と前日に行われたサマーソニック大阪公演の2回だけ。彼らのヒット曲の多さからいえば、フェスの中の1時間20分という枠では、全く時間が足りなかった。近いうちに単独公演を期待したい。

(編集委員 吉田俊宏)

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