クイーン+アダム・ランバート往年の名曲みずみずしくよみがえる

英ロックバンドのクイーンが9年ぶりに来日し、ロックフェスティバル「サマーソニック2014」のステージに立った。バンドの顔でもあったボーカルのフレディ・マーキュリーが亡くなって23年。前回の来日ではクイーンと同世代のポール・ロジャース(64)がフレディの代わりを務めたが、今回は息子といえる世代の米ポップス歌手、アダム・ランバート(32)が大役を任された。難曲の多いクイーンのレパートリーをどう歌いこなすかに注目が集まったが、幅広い声域と確かな歌唱力で、ロック史に残る名曲の数々を感動的によみがえらせてくれた。

左からアダム、ブライアン、ロジャー(C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

日も暮れて開演時間が迫るころ、ステージ前に白い幕が下ろされた。全面に巨大なクイーンの紋章が描かれている。美術学校出身のフレディがQの文字にメンバー4人の星座をあしらってデザインしたものだ。8月17日、千葉・幕張新都心の海辺にある野球場、QVCマリンフィールドはすでに超満員である。

やがて心臓の鼓動のようなバスドラムが打ち鳴らされ、荘厳なギターオーケストレーションによる「プロセッション」が始まった。ここはまだ生演奏ではなく、レコードを流しているわけだが、ファンの、特に往年のファンの鼓動はいきなり高まったに違いない。初期の名作アルバム「クイーン2」の冒頭を飾ったナンバーで、昔のクイーンのコンサートはすべてこうして始まっていたからだ。思いっきり懐古趣味でいくよ、という彼らの宣言にも聞こえる。ファンの多くが望むところではないか。筆者の心は早くも1970年代に飛んでしまった。

「クイーン2」や初期のコンサートのように、次の曲が「父より子へ」だったら、子のような世代のアダムにボーカルを任せるステージにぴったりだなと思いながら聴いていたら、文字通りの「幕開け」は初期のロックンロール「ナウ・アイム・ヒア」だった。この流れは1975年の初来日公演と同じで、やはり懐古色たっぷりのオープニングである。

この曲の作者でもあるブライアン・メイ(67)、そしてドラムのロジャー・テイラー(65)が元気な姿を見せると、もう会場は大興奮である。もう一人のオリジナルメンバー、ベースのジョン・ディーコン(63)はすでに引退していて不在なのだが、その寂しさをアダムの若々しい動きが忘れさせてくれる。

次々とヒット曲を披露していく中で、アダムはよく健闘していた。フレディはアクの強いキャラクターで、芝居がかったステージングを得意にした。そういった側面は、完全にアダムの個性と重なっている。ゴージャスなソファに寝そべって、高級そうなシャンパンをラッパ飲みし、妖しげに「キラー・クイーン」を歌うといった演出は、まさにアダムならではのものだ。

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