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女性管理職増やすなら、「優しさの勘違い」正すべし 日経BPヒット総研所長 麓幸子

2014/9/4

 エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。いまを象徴するキーワードから、話題の理由、面白いワケなど、「ひみつ」を明らかにします。今回のキーワードは【パターナリズム】。2020年までに指導的な地位に占める女性の割合を30%にするという政府目標があるにもかかわらず、女性の管理職比率が低下するという調査結果が出ました。背景にあるのは「優しさの勘違い(パターナリズム)」という指摘があります。パターナリズムとは何か? 女性活用の最新事情をお伝えします。

■女性管理職比率が低下、遠のく政府目標「2030」

 2020年まであとわずか6年。「2030」の道は、まだ険し……。

 この欄でも毎回のように触れている「2030」。

 2020年までに指導的な地位に占める女性の割合を30%にするという政府目標のことであるが、その実現がまた遠のくような調査結果が発表された。厚生労働省が2014年8月19日に発表した2013年度雇用均等基本調査によると、企業の課長相当職以上(役員含む)に占める女性の割合は6.6%となり、2011年に比べ0.2ポイント下がった。係長相当職では12.7%(プラス0.8ポイント)、課長相当職では6.0%(プラス0.5ポイント)と微増となったが、部長相当職では逆に0.9ポイント減らし3.6%となった。

厚生労働省「平成25年度雇用均等基本調査」より役職別女性管理職割合の推移 (注)平成23年度の[ ]内の比率は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果

 前回調査までは、部長、課長、係長とも少しずつではあるが増加していたが、今回は部長相当が値を下げ、頭打ち状態となった。また、課長相当職以上の女性管理職(役員含む)を有する企業割合は56.0%で、2年前より0.7ポイントしか増えていない。つまり女性管理職が一人もいない企業割合は44%にも上り、それは前回よりほんの少ししか改善されていない。

 「女性管理職が少ないあるいは全くいない理由」として、「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいないため」(58.3%)、「女性が希望しないため」(21.0%)、「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいないため」(19.0%)、「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職するため」(16.2%)が、上位にきている。

 日本において管理職とは、長期雇用を前提に、入社後、配置転換と昇進という横の移動と縦の移動を繰り返しながら育成・登用することで誕生する。日本の昇進システムには欧米に比べて「遅い選抜方式」という特色があり、入社15年前後という、かなり遅い時期に部長以上の中枢幹部への選抜が行われる。つまり、女性管理職を増やすためには、採用段階でも女性がおり、その女性たちが退職することなく育成され、技能や知見を身に着けて登用されるという、「採用→育成→登用」という人材のパイプラインを構築することが重要だ。

 現在の女性管理職比率の数値は、過去どのくらい採用・育成したかということの反映であり、また、将来どのくらい登用されるのかということをも示す数字である。本来であれば、登用に加速をつけ、いわばグラフの機首をグッと上げる時期なのに、現在すでに頭打ちであれば、「2030」はおぼつかないとみたほうがよいだろう。

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