MONO TRENDY

ブームの予感(日経MJ)

思い出は捨てられない…「非・断捨離」支えます

2014/8/31

成熟社会の中で、無駄なモノを捨ててシンプルに生きようという「断捨離」の機運が高まっている。だが実際にはどんな家庭にも、思い出が詰まっていて捨てるに捨てられないモノがある。捨てるかどうか相談に応じたり思い出のモノを預かるなど、モノを捨てられない人をサポートするビジネスが広がってきた。

カジタクの収納マイスター(右)が使用頻度などを聞いて仕分ける(東京都世田谷区)

■家事代行会社、仕分け後に預かりも

東京・世田谷に住む二條実季さん(48)は今月初旬、収納整理の専門家を自宅に呼んだ。1.5畳ほどの収納は足の踏み場もないほどの物であふれている。片付けようにもどこから手をつけてよいか分からず、困り果てていたからだ。

依頼を受けた赤松樹さん(30)はまずメジャーで納戸の収納力を測り「収納力に対し60%オーバー」と“診断”。箱の中身を1つひとつ取り出す。「これはどのぐらい着ていませんか? 誰かもらい手はいますか」「ここ虫食いができているから着られそうもないですね」と話し合いながら「捨てる物」「預ける物」「思い出関連」とに仕分けていく。

仕分けをしてみると、1年以上使っていないものが次々と現れる。友人からプレゼントされた浴衣やレースのカーテン。息子に買ったが「暑すぎ」と言われ、ほとんど袖を通していないジャンパー、旧式のビデオカメラ3台……。もったいないという思いが募り、今日までとっていた。

仕分けが終わり、普段よく使うものは扉の前の方に「思い出関連」は奥にと赤松さんが手際よく収納していく。片付けるのに4時間かかった。

このサービスを手がけるのはイオングループで家事代行サービス大手のカジタク(東京・中央)だ。料金は事前の打ち合わせも含め、2万368円から。4年前から始めたが、30~40代を中心に申込者が増え、今年は昨年に比べ約3倍の伸び。赤松さんのような「収納マイスター」15人が対応しているが、人材の育成が追いつかない。

サービスの特徴は「捨てましょう」と決して迫らないこと。カジタク取締役COO兼CFOの楠見淳美さんは家事代行で顧客と接する中で、「どんな物でも持ち主の過去や人間関係とつながっており、『捨てると後悔するのではないか』とストレスを感じる人が多い」と気づいたという。

そこで、同社では捨てるか捨てないかで迷う人のために「預ける」という第3の道を用意する。洋服なら15点まで1万2960円でクリーニングをして最長9カ月間など、「預かる」メニューが豊富にそろう。

二條さんもこの日、迷った揚げ句、息子のために買ったジャンパーやほとんど着ていない白のコートなどをカジタクに預けた。「保管期限がきた時にまた考える」

■トランクルーム市場、5年で1.6倍に広がる

ネットで簡単に安くものが購入できるようになった今。家の中が物であふれ、外部に有料で「預ける」人が増えている。トランクルーム市場はこの5年間で463億円(2013年)と1.6倍に拡大した(大手のキュラーズ調べ)。潜在需要は大きく、20年には700億円規模に成長すると推計する。

宅配クリーニングなどを手掛けるホワイトプラス(東京・渋谷)は昨年、段ボール5箱まで月500円で預かる収納サービスを始めた。保管倉庫を土地代の安い郊外に設け、同社が自宅から倉庫まで送ったり届けたりすることで価格を抑えた。お金にさほど余裕はないが気軽にちょっと預けたい、というニーズを掘り起こす。

30~40代の間で話題となり、洋服や本、子供が使っていたおもちゃなど最多で5万箱分以上が集まった。ところが次第に「段ボールでは足りない。預けたいものがもっとある」という声が寄せられるようになった。

顧客に聞き取り調査をしたところ、「自分が独身時代に使っていた」「祖父が気に入って使っていた」といった理由で大型家電や家具を預けたいというニーズが多いことがわかった。

そこで6月からは大型の家具が入るよう、預かる単位を0.2畳から(保管料は月3980円~)にした。持ち主の物の愛着に配慮し、自宅まで引き取りに行く際には1つひとつ梱包する。平均単価(保管料のみ)は約6千円を超え、同社の想定より2千円上回っている。

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