スマホが出す「夜の光」 肥満やうつのリスク要因か日経BPヒット総研 西沢邦浩

体内時計の乱れがもたらす疾患

ブルーライトを夜に浴びるのは肥満の原因にも?

正常なメラトニン分泌の阻害や体内時計の乱れがもたらす健康被害に関する研究も、次々と報告されている。

先に挙げた目へのストレスや睡眠障害はもとより、エネルギー代謝が狂って肥満を促進する、高血圧、2型糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まるという指摘は多い[注3]

また、がんに関しては、たとえば女性の深夜労働もしくはタイムシフトワークによる乳がんリスクの上昇が問題視されている。仏で行われた研究では、夜勤経験者は非経験者よりも乳がんの発症リスクが1.35 倍高かったという結果が出ている[注4]

さらに、うつ病患者では体内時計に大きな乱れが生じている可能性があるという研究も発表された[注5]

まさに、現代人に典型的な病気の発症に体内時計の乱れが関わっているかもしれないのだ。

まだ人類は“明るい夜”に適応し切れていない

白熱電球とそれに続く蛍光灯が日本の家庭の夜を明るく照らし始めてからまだ100年も経過していない。LEDを光源とする家電製品は登場して15年ほど。そして、コンビニエンスストアで24時間営業が始まってから約30年、つまり、老いも若きも昼夜を分かたず生活するようになってからの日は浅い。

タバコの害が実証されるのに多くの時間が必要だったように、LEDを光源とする情報機器の夜間利用のリスクや、体内時計の乱れをもたらす深夜労働・タイムシフトワークのリスクが、多くの科学的根拠をもって証明されるのにはまだかなりの時間がかかるだろう。

しかし、害が立証されてからその予防対策が始まるのでは遅きに失する。

[注3]Sci Transl Med;11,4(129),129ra43,2012およびJAMA;309(13),1388-96,2013など
[注4]Int J Cancer;132(4),924-31,2013
[注5]Proc Natl Acad Sci U S A;110(24),9950-5,2013 
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