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W杯観戦中の意外な現象 原因はトイレ?

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

「ある意外なものの変化を通じて人々の行動がつかめる」という話を聞いた。その答えは水道水――。刻一刻と変化する使用量が細かく一元管理されており、家庭の中の生活の様子が克明に浮かび上がるからだ。

最も分かりやすい事例がW杯サッカーの日本戦。

1対2で逆転負けしたコートジボワール戦、1人多い数的優位に立ちながら0対0の引き分けに持ち込まれたギリシャ戦、相手とのレベルの違いを見せつけられたコロンビア戦……。3試合とも惜敗を喫した日本人にとっては悔しい試合だったが、いずれもハーフタイムの15分ほどの間に使用量が一気に増える「駆け込み現象」が読み取れるそうだ。

このほか大地震の直後に、貯水タンクの構造上の理由から使用量が異常に跳ね上がる不思議な現象も起きているらしい。そこで今回は、水道の使用量から見た人々の生活の興味深い断面を紹介する。

試合前に洗濯、炊事を済ませる

上のグラフは今年6月15日(日)に行われたコートジボワール戦の時間帯における水道使用量(東京都内)の推移である。青線は平均値で曜日や天候などが当日とほぼ同じ条件の日(6月1日、5月25日、5月18日)から算出した。「それぞれ平均値と比較すると、人々の興味深い行動が浮かび上がる」(東京都水道局水運用センター)。

グラフを追ってみよう。この日の試合開始は日本時間の午前10時。天気は快晴だった。

まずテレビ放送が始まった午前9時から試合開始の午前10時まで。通常よりも1割ほど多い20万立方メートル弱で推移しているのが分かる。

「絶好の洗濯日和だったので、試合が始まる前に早く洗濯を済ませてしまおうとしたことが大きな要因」と東京都水道局水運用センターは解説する。炊事やトイレ、洗顔、歯磨き、シャワーなどが試合前に集中したことも影響したようだ。

ハーフタイムにトイレに駆け込んだ

さらに興味深いのがハーフタイム。

試合が始まると使用量は急速に低下し、前半が終わるころには14万9570立方メートルまで下がったが、ハーフタイムに入ると使用量が一気に増加したのだ。ちょうどくぼみに挟まれた突起物のような形状である。底からピークまで2割ほど増えた計算になる。

「これは前半中に我慢していたトイレに駆け込み、水道の使用量が瞬間的に増えたため」(東京都水道局水運用センター)。さらに炊事、家事、洗顔もハーフタイムに集中しており、増加に拍車をかけたとみられる。

ただ使用量は後半が始まると再び低下。特に後半17分に怪物FW、ドログバ選手が投入され、続けざまに得点を許した「魔の2分」が過ぎたあたりから使用量がどんどん下がった。「多くの日本人が逆転を願ってテレビ中継にかじりついていたため」(同センター)と考えられる。「初戦の勝敗がカギをにぎる」と言われていただけに、より大きな関心が集まったようだ。

試合は1対2の逆転負けでついに終了。その直後から使用量は13万2081立方メートルから16万8218立方メートルへと一気に3割ほど増えた。

このように、人々は試合観戦の時間帯をうまく避けながら、水道を使っていたわけだ。

ギリシャ戦、コロンビア戦でも同じ現象

6月20日(金)のギリシャ戦(試合開始午前7時)、25日(水)のコロンビア戦(試合開始午前5時)でもハーフタイムに使用量が瞬間的に増える現象は同じ(ギリシャ戦の平均値は6月13、23、30日、コロンビア戦の平均値は6月4、18日より算出)。前半終了時からハーフタイムのピーク時には使用量がギリシャ戦では約3割、コロンビア戦では約5割も増えている。コートジボワール戦と同様、トイレへの駆け込み需要などが原因とみられる。

水道使用量はテレビ視聴率と反比例

ここで言えるのは、テレビを視聴している時は水道使用量が減り、テレビを視聴していない時は水道使用量が増えるという傾向があること。つまり、「水道の使用量の変化はテレビの視聴率と大まかに反比例関係にある」とわけだ。

実際、ソチ五輪のフィギュアスケート、大みそかのNHKの紅白歌合戦、大ヒットしたテレビドラマ「半沢直樹」などを放映した際にも人気が高い人物が登場した時には使用量が急速に減り、CM時には一気に増えるという現象が起きた。こうした現象は東京都だけに限らず全国どこにでも起きているらしい。

地震直後に使用量が増えるワケとは?

興味深い現象をもうひとつ紹介しよう。

2011年3月11日(金)の東日本大震災発生直後の水道使用量も特異な動きを示している。どういうわけか使用量が大幅に増加しているのだ。

グラフはその時間帯の水道使用量の推移である(平均値は2011年3月1、8日より算出)。三陸沖を震源とする東日本大震災が発生したのは午後2時46分。同時に、東京23区でもほぼすべての区で震度5強以上を観測した。

これに伴い、14万立方メートル程度だった使用量がほぼ2倍の28万立方メートル程度まで一気に跳ね上がっている。一体、何が起きたのか。

「実はマンション、アパートなどの集合集宅によく設置されている貯水槽が地震による揺れで給水用のバルブが作動し、使用量が増えたため」(東京都水道局水運用センター)だという。一つ一つの貯水槽への給水を合計するとかなりの増加量になるわけだ。

水道局は24時間体制で使用量を監視

その後も地震の際には同じ現象が起きているのが分かる。同日の午後3時15分に茨城沖を震源に発生したマグニチュード7.4の地震(東京23区は震度5弱)の際にも使用量が一気に増えた。午後4時29分に起きた余震(震度3)でもやや規模は小さいが使用量が増える現象が起きている。

大勢の人が同時に水道を使用すると、水圧が落ちて水の出方が悪くなったり、トラブルが起きる恐れもある。そのため、東京都水道局では使用量や水圧の変化を24時間体制で監視し、水圧や給水量をたえず調整しているそうだ。

使用量はトイレ、ふろ、炊事、洗濯の順

家庭での通常の水の使われ方について調べた統計がある。

1日に1人が使う水道の量は平均225リットル。用途は「トイレ」が最も多くて全体の28%。次いで「ふろ」24%、「炊事」23%、「洗濯」16%と続く。W杯サッカー観戦のハーフタイムで一気に増えた水道の使用量も、これらの要因が影響したと考えてよさそうだ。

最後に水道の使用量には1日の変化のパターンや、時間帯や天候、曜日などによる違いもあるのでグラフで確認しておこう。

朝と夜がピーク、晴れると使用量は増加

グラフは平日の晴れの日、雨の日、休日の水道使用量の1日の変化である。

一般に水道の使用量は、朝食や出勤・通学に合わせた「朝」と、帰宅後の夕食・入浴などに合わせた「夜」とにヤマがあるのが分かる。一方、「明け方」と、夕食の準備が始まる前の「午後3時」ごろが使用量の底になる。これが年間を通じた基本パターンだ。

だが、この振れ幅を左右するのが天候。晴れの日には使用量が増えるが、雨の日には使用量が減る傾向がある。洗濯をするかしないかの違いが出るためだ。

さらに休日は平日に比べて朝方の使用量がピークに達するのが遅れる傾向もある。休日は平日に比べて朝からゆっくりとしたリズムで活動するためとみられる。

水道は人々の日常生活には切っても切り離せないもの。その使用量の変化により、人々のライフスタイルも透けて見える。

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