汗、実は無臭 気になる体臭は「疲労臭」かも
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汗の臭いが気になります。どうしたら防ぐことができますか?(30歳・食品・営業)
暑いときに出るサラッとした汗は、99%以上が水分です。そのため、汗そのものは無臭。ところが、そのまま放っておくと、湿気で皮膚表面の雑菌が増えるため、臭いが発生してしまいます。ですから、汗をかいたら、きちんと拭くことが大切。臭いの成分は水溶性なので、ボディシートなどで汗を拭けば大丈夫。菌が増え始めるのは汗をかいてから6時間後ですから、それまでにケアするのがいいですね。
汗をかく習慣のない人は、汗腺の機能が衰えているため、アンモニアなどの臭い成分を含むベタついた汗をかきやすくなっています。汗腺は鍛えられますから、普段から運動をしたり、入浴中に汗を出したりするなどして汗の質を変えていきましょう。
これ以外に、人の体には、そもそも臭いの成分を含んだ汗を出す部位があります。ワキや性器の周辺からは、脂質、糖質、アンモニアや尿素などを含む汗が出る汗腺があるのです。ワキの汗は、制汗剤を使ったり、出た汗を早めに濡れタオルなどで拭いたりすればケアできます。
まれに強い臭いを放つことがあり、これをワキガと呼びますが、それはこの汗が多いことが原因。(1)腋毛(わきげ)が多い、(2)ワキに触れた衣類に黄色い汗染みがつく、(3)耳垢が湿っている、という3つに心当たりがある人は、ワキガの可能性が考えられますので、病院での治療をおすすめします。
そして忘れてならないのが、今、働く女性に増えている"疲労臭"。ストレスや疲れがたまって肝臓の機能が低下し、分解されないアンモニア成分が汗と一緒に出て臭いを発します。この臭いは、体の中からのケアが大切。入浴で代謝を促したり、肝臓の働きを助けるオルニチンを含むシジミの味噌汁を飲んだりしましょう。
汗は全身にあるエクリン汗腺と、ワキ、性器、耳の後ろなどのアポクリン汗腺から出る。汗の水分で皮膚が蒸れることと、汗の成分をエサに皮膚の雑菌が増えたり、皮膚表面がアルカリ化したりすることで臭いが発生。また、アポクリン汗腺からの汗は、アンモニアなどを含み、臭いの原因に。
【五味さんおすすめ汗腺トレーニング入浴法】
浴槽にセ氏43度前後の湯を少なめに張り、肘下とひざ下を10分入れた後、水を足しセ氏36度前後のぬるま湯にし、10分間半身浴をする。
この人に聞きました
五味クリニック院長。体臭・多汗研究所所長。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科、多摩病院精神科などを経て、現職。『気になる口臭・体臭・加齢臭』(旬報社)など著書多数。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN2013年6月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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