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不妊治療と仕事はどう両立? 休暇制度導入する企業も

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近年、晩婚化などを背景に不妊治療を受ける夫婦は約5.5組に1組います。厚生労働省が2017年度に実施した調査によれば、不妊治療経験者のうち16%が離職(女性に限れば、この割合は23%)。不妊治療と仕事の両立支援は社会的な課題と言えます。今後、企業そして不妊治療をしながら就労を希望する方は、どのような点に留意したらよいでしょうか。

不妊治療への理解不足が大きい

20年5月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」においては、不妊治療への支援として、不妊治療にかかる経済的負担の軽減、不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備などが盛り込まれました。

21年2月には、「次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針」の改正が行われ、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」の項目が追加されています(21年4月1日より適用)。

こうした流れを受け、不妊治療と仕事の両立が徐々にクローズアップされることで、企業側においても課題への認識が広まりつつある状況と言えるでしょう。

不妊の原因は、女性だけにあるわけではありません。世界保健機関(WHO)によれば、約半数は男性に原因があるとされ、検査をしても原因がわからないこともあります。しかし、治療が進めば、通院の負担は女性に多くかかってきます。

これまであまり表面に出てこなかったのは、決して問題がないからではありません。「不妊治療をしていることを知られたくない」という方は非常に多く、職場で声を上げにくい実情がありました。そして、上で述べたように治療経験者のうち約4人に1人の女性が退職する道を選んでしまっているのです。

不妊治療と仕事の両立ができなかった理由については、「精神面での負担の大きさ」「通院回数の多さ」「体調、体力面での負担の大きさ」「通院と仕事の日程調整の難しさ」などが挙げられます(厚生労働省「2017年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」より)。

体外受精や顕微授精を行う場合、特に女性は頻繁な通院が必要となります。また、排卵周期に合わせた通院が求められるため、前もって治療の予定を決めることが困難な場合もあります。

あくまでも個人の状況によって変わりますが、不妊治療に要する通院の目安は女性の場合、月経周期ごとに生殖補助医療で1回1~3時間程度の通院が4日~10日、加えて1回あたり半日~1日程度の通院が1~2日、必要になります(厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」より)。一般不妊治療でも1回1~2時間程度の通院が2~6日必要と言われます。さらに、治療による影響で腹痛や頭痛、めまいなどの体調不良が生じることもあり、身体的にも精神的にも決して容易なものではありません。

まず、私たち1人ひとりが、不妊治療に対して理解を深めていくことが重要です。治療の特性がわからなければ、不用意な誤解を生みだしかねません。

多様な選択肢と休みやすい職場環境を

不妊治療を受けながら仕事も続けてもらいたいと考えている場合、安心して働き続けられるような職場環境の整備は欠かせません。もちろん、プライバシーの保護には十分に配慮し、そのうえでどう通院に必要な時間を確保するか考えていく必要があります。

一部の企業では、不妊治療のための休暇制度などを導入しています。富士フイルムでは、最長1年までの「不妊治療目的による休職制度」や「不妊治療目的によるストック休暇」(有給休暇の失効分を60日まで積み立てることができ、傷病やリハビリ、育児、介護、ボランティア目的などで使用可能な制度)を取り入れています。失効する年休を病気休暇として利用できる企業はありますが、不妊治療も利用目的に含めて幅広く対応するのは有効といえるでしょう。

不妊治療に限らず、様々な病気と闘いながら、仕事を続けている方もたくさんいます。本人ばかりでなく、家族の病気や介護、育児など、あらゆる事情を抱えている働き手は少なくありません。そう考えると、不妊治療だけに限った休暇制度を設けるばかりでなく、多目的な制度を導入していけるか検討したいところです。

年次有給休暇であれば、利用目的を問わず取得できます。これが時間単位で、いつでも自由に使えるようになれば、かなり柔軟に働くことができるのではないでしょうか。21年7月に発表された(調査期間は20年1月27日~2月7日)「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)によると、時間単位年休取得制度を「導入している」企業はわずか22.0%で、実はそれほど広く普及していません。時間単位年休取得制度を「導入している」企業はわずか22.0%で、実はそれほど広く普及していません。

また、フレックスタイム制で働くことができれば、本人の裁量で仕事の調整もしやすくなります。企業が多様な働き方・休み方の選択肢を用意するとともに、利用しやすい職場風土を醸成していくことが、結果として不妊治療と仕事の両立支援につながっていくのではないでしょうか。管理職研修においても、課題として認識を共有し、不妊治療への理解を深めることが大切です。

こうした職場環境の整備に取り組み、両立支援制度などの利用を認めた中小企業事業主に向けた「両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)」もあります。支給要件のひとつに、不妊治療と仕事の両立のための社内ニーズ調査の実施などがありますが、むしろアンケート調査を行うことで理解・関心を高める効果もあります。中小企業はこうした助成金制度の活用も視野に入れて、両立支援制度について検討してみてはいかがでしょうか。

不妊治療と仕事の両立について、本人任せにしていては、前に進みません。本人が相談したいと思ったときに対応できるように、まず会社が受け皿を用意しておくことに大きな意味があります。

これから不妊治療を検討されている方に

今後、不妊治療を受けながら仕事を続けたいと考えている場合、自社の制度を確認しましょう。法律による休暇・休業制度は、残念ながらありません。会社が独自にどのような取り組みを行っているのか就業規則を調べたり、人事労務担当者に聞いてみたりするのもよいでしょう。これまではなかった場合でも、現在進行形で検討している可能性もあります。

不妊治療を受ける社員、今後予定している社員が不妊治療中であることを伝えるツールとして「不妊治療連絡カード」があります。プライバシーを保護して対応してくれる相談窓口や人事などに提出して、対応を図ってもらってはいかがでしょうか。

「不妊治療連絡カード」は、不妊治療をしている方が職場とのコミュニケーションを円滑に進めるために、「母性健康管理指導事項連絡カード」をもとに厚生労働省が作成したものです。仕事と不妊治療の両立に理解と配慮を求めるために役立てることを目的としています。

同僚には知られたくない、けれど柔軟に休みをとれるように配慮してもらいたいときなどに有効です。

会社側に意思表示することについて抵抗がある場合は、しばらく様子をみてもよいかもしれません。相談することで、急な欠勤や体調不良への理解は得られやすい一方、体調面への配慮から責任ある仕事を任せてもらえないなど、キャリア面での懸念もあるかもしれません。治療状況について報告することに精神的な負担などもあるでしょう。

ただ、治療のステップが進んで休む機会が増えてくると、どうしても職場でのやりにくさは出てきてしまいます。周囲の理解、そしてサポートが得られれば、情報共有しながら業務を進めることができますし、急な欠勤による対応もチームで乗り切ることができるのではないでしょうか。職場における人間関係もありますが、1人で抱え込みすぎないことが、治療と仕事の両立においては大事になってくると思います。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開業、その後グレース・パートナーズ株式会社を設立し代表に就任。人事労務・社会保険面から経営を支援し、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。また、出産後も女性が働き続けられる雇用環境の整備をはじめ、女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」(ソーテック社)。新聞・雑誌などメディアで活躍。

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