前向きな姿勢と責任感を「感染」させる人

40代に向けて伸びる人と停滞する人の差を分ける3つの姿勢、最後の一つは、「周囲にポジティブな影響を及ぼし、周囲にも責任を持たせられる人」か否かです。

良い影響、前向きな姿勢を及ぼす30代リーダーこそ、40代以降に経営幹部として大成していく人です。「あの人の元にいると楽しい」「何か新しいチャレンジができそうだ」「あの人と一緒に働きたい」と思われる人が望ましいというのは、多くの人が共感するところでしょう。私は講演やセミナーなどで締めのメッセージとして「楽しそうでツイてそうなリーダーになってください」という話をいつもしています。

ただし、もう一つ重要なのが「周囲にも責任を持たせられる人」であること。要は、単に優しい人、怒らない人ではないということです。

こうした人とは、「自分が所属しているチームで絶対に勝ちたいと思っている」人であり、そのために「懸命に学び、試す」ことができる人と、重複するケースが多いようです。つまり、ここまでに挙げた3つの要素は一種の相関関係にあるように見えます。

いい顔をしたがる人、人間関係的な立ち回りばかりにかまけている人が、実は社会人の後半人生で出世競争から脱落していくのは、真に勝てるチームをつくれる人、そのために自分も努力し成長し続け、メンバーたちにもそれを求め続けることができる人ではないからです。

「ポジティブな姿勢、影響」というのは、「優しい、怒らない、ぬるま湯」とは別物です。転職活動中の皆さんには自分事として意識してほしい点です。一方、採用する企業側の経営者や採用責任者の皆さんは、この部分のキャラクターを見誤らないよう、お気をつけください。

30代半ば以降世代としては、「自分軸」ではなく「チーム志向、チーム軸」であるかも、要確認事項です。若手の頃は、まずは自己確立をしなければなりませんし、実績も自信もない世代で、ある面、自分ファーストなくらいでなければ土台を確立できません。

しかし、「35歳の壁」をまたぐところで、自分ファーストからチームファーストへの転換ができていない人は、40、50代において大きな成果を期待することは難しく、それ以上に組織の害となる可能性が高いので、採用時に最も気をつけるべき部分の一つです。いったん組織に入れてしまったら、終わりですよ。

最終的に自分たちを勝たせてくれる人、より良い世界に連れて行ってくれる人に、人はついていきますし、企業はそうした30代、40代、50代を採用したいのです。こうした人の下にいる同僚や部下たちは、彼ら自身の多くもまた、責任感を備えた人材となります。組織を預ける企業側とすれば、どの30代にチームを託すかは、短期的にも中長期的にも、当人だけの問題ではないのです。

令和における「新・35歳の壁」とは、40代以降に大成していく姿勢・資質を身につけている人か否かの境目を指しています。30代の人は3つの姿勢を強固なものとして「新・35歳の壁」を乗り越え、やりがいがあり、伸びしろの大きい40、50代に向かってください。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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