答えと解説

正解(喉頭がんの説明として間違っているもの)は、(3)罹患率で比べると、肺がんの半分程度である です。喉頭がんの罹患率は肺がんの約17分の1であり、比較的まれながんだといわれています。

鼻や口から吸った空気や、口から入った食べ物・飲み物は、口の奥(咽頭)を通過して、それぞれ気道と食道へ入っていきます。このとき、食べ物が肺につながる気道に入らないよう調節(誤嚥防止)をしているのが喉頭。いわゆる「のどぼとけ」で、ここにできたがんが喉頭がんです。喉頭には声を出すのに必要な声帯があり、その部分にできるのを「声門がん」、その上にできるのを「声門上部がん」、下にできるのを「声門下部がん」と呼んでいます。

喉頭は、声門上部、声門、声門下部から成る。なお、声門とは、左右の声帯とそれらの間の空間(声門裂)とをまとめていう(原図=123RF)

国立がん研究センターが公表している「部位別がん罹患率」(2017年)によると、男性の喉頭がん罹患率は10万人あたり7.9人。女性の喉頭がんは0.6人なので、圧倒的に男性に多いがんだといえます。

喉頭がんは、例えば肺がん(10万人あたり134.4人)と比べると罹患率が17分の1であり、比較的まれながんなのですが、人気番組「笑点」でおなじみの落語家の林家木久扇さん、音楽プロデューサーの「つんく」さんが喉頭がんの闘病経験を明らかにしているほか、過去にはミュージシャンの忌野清志郎さん、落語家の立川談志さんらが喉頭がんで命を落としており、一般の人にはよく知られています。

喉頭がんの原因に飲酒や喫煙の影響が大きいことが分かっています。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)頭頸部内科長の田原信さんは、「喉頭がんの発病のピークは70代にありますが、長年、喫煙と飲酒を続けている人では40代後半で見つかることも多いのです。ミュージシャンや落語家の方に目立つのは、喫煙者や愛飲家が比較的多いからかもしれません」と話します。

アルコールに関する疫学調査では「飲酒後に顔が赤くなる体質の人」でリスクが高いことも分かっています。顔が赤くなる人は、遺伝的に体内でアルコール(エタノール)の最初の代謝物であるアセトアルデヒドの分解が遅く、アセトアルデヒドには発がん性があるため体内に長く残るとがんのリスクを高めてしまうのです。田原さんは「若い頃は酒を飲むと顔が赤くなっていたのに、鍛えられて飲めるようになったという人は、喉頭がんのリスクが高いといえます」と警鐘を鳴らします。

喉頭がんの初期の自覚症状は以下のようにまとめられます。

喉頭がんのサイン(初期の自覚症状)

(1)声のかすれ、声質の変化
(2)のどの違和感(いがらっぽさ)
(3)首の腫れ、しこり
(4)飲み込むときの痛み、違和感

喉頭は、口を大きく開けて喉頭鏡で診ることが多いのですが、がんの早期発見のためには、まずは「喉頭ファイバースコープ検査」を行うことが重要です。これは鼻から細い内視鏡を挿入し、喉頭の粘膜や声帯の動きを調べる検査。田原さんは「声の異常、のどの違和感などが1カ月以上続く場合は、地域の基幹病院の耳鼻咽喉科や頭頸部外科などで検査を受けるようにしましょう」とアドバイスします。

この記事は、「喉頭がんはなぜ落語家とミュージシャンに多い?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/031200009/121700036/(荒川直樹=科学ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年8月30日付記事を再構成]

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