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世界に通じる経営理論は日本発が意外と多い

世界に通じる経営理論は日本発が意外と多い

1980年代、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛された日本企業が「失われた20年」を経て自信を喪失している。トヨタ自動車の伝統的な「トヨタ生産方式」「カンバン」と称された日本独自の経営モデルでさえ今や、海外の経営コンサルタントに標準モデル化され、それを「逆輸入」するかのような地位に甘んじている。世界標準となっている経営モデルが、実は日本発であることも少なくないと指摘するのが、本書『日本"式"経営の逆襲』の問題意識だ。なぜ、日本流の経営モデルが日本発として伝わらないのか。日本の製造業の研究を積み重ねてきた著者が丹念にウオッチしてきた成果を紹介しつつ、数々の問題点を指摘している。日本企業はもっと自信を取り戻して良いはずだ――。本書は悩める日本企業にエールを送りつつ冷静に経営モデルを再評価する一冊となっている。

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著者の岩尾氏

著者の岩尾氏

著者の岩尾俊兵氏は慶応義塾大学商学部専任講師。1989年、佐賀県生まれ。慶応義塾大学商学部卒、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、同大院で博士(経営学)を取得しました。明治学院大学経済学部国際経営学科専任講師、東京大学大学院情報理工学系研究科客員研究員などを経て、現職。著書に『イノベーションを生む"改善"』(有斐閣)などがあります。

世界で注目を集める日本企業の経営技術だが…

日本企業の経営はダメになってしまったのか――? 本書を通じて一貫して繰り返される問題意識がそこにあります。しかし、著者は「否」と答えます。高度成長期に日本企業を支えた経営モデル、終身雇用、年功賃金、企業別労働組合がありましたが、いまや、それは時代遅れのものととらえられ、米国型の経営モデルに取って代わられてしまい、世界標準でみると、引けをとっている。こうした実態の原因はいったいどこにあるのか。90年代のバブル経済崩壊以降「失われた20年」で日本経済は全体としてみると、成長が伸び悩み、大きく傷ついています。

「日本の経営は、今、危機の真っただ中にある。日本企業が自らの強みを捨てている一方で、世界がそれを虎視眈々と狙っている」(10ページ)と述べ、著者が深刻な危機感を覚えているところに本書の問題提起があります。トヨタ自動車の効率的な生産方式の源流である「カンバン」とか、研究開発を自社で囲い込まず外部資源を活用して進める「オープンイノベーション」、昨今話題となっている「両利きの経営」。これらは日本の経営モデルに端を発していると、著者は具体的な事例を挙げて指摘します。世界的なIT(情報技術)大手、アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏でさえ「日本の経営から現在でも多くを学んでいると公言している」といいます。

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