過去の作品を見るきっかけにも

ゲーム事業の基本方針は「得意なものしかやらない」(大田氏)。第1弾としてゴジラを起用したのも、同社が100%IPを保有しており、その特性を誰よりも把握していることが大きい。

「原作を研究分析し、その魅力を知り尽くして、どうしたら顧客に喜びや感動を届けられるかを考えるという映像作品での取り組みは、ゲームにも共通する」と話すのは『ゴジラ デストラクション』を担当した塩入大介エグゼクティブプロデューサー。「だからこそゲーム開発においては、単にIPをはめ込むのではなく、作品の長所や魅力をいかに取り込んでいくかを重視している」

リリースされた3作品は、いずれも過去のゴジラ映画のBGMが使われていたり、登場した怪獣が起用されていたりするなど、ゴジラの世界観を存分に生かしたゲームになっている。それが日本だけでなく海外のゴジラファンにも支持され、米国や東南アジア、南米などでも数万単位のダウンロード数を記録した。

公開中の映画『ゴジラvsコング』やテレビアニメ『ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉』とのコラボもタイムリーに行われているが、ゲームがスポットライトを当てるのは新作だけに限らない。「ゲームや登場するキャラクターをきっかけとして、過去のゴジラ作品を見たという声も多い」(『ゴジラ バトルライン』を担当した大槻林太郎ゲームプロデューサー)。

IPをゲームだけで完結させず、全てのコンテンツを包括的に連携させ、IPの魅力を広げビジネスを拡大できる点は、映像を主体とした多様なリソースを持つ東宝ならではの強みとなりそうだ。

(ライター 佐野正弘)

[日経エンタテインメント! 2021年9月号の記事を再構成]

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