松下洸平 この気持ちを曲で残せたらとの思い途切れず松下洸平インタビュー(下)

日経エンタテインメント!

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2019年の朝ドラ『スカーレット』で一躍、注目の存在となった松下洸平。以降、役者としてドラマに舞台に、順調にキャリアを重ねている。その松下が8月にCDをリリースし、シンガーソングライターとして念願の音楽活動を本格化させた。前回「松下洸平 歌詞の世界と自分をリンクさせるのが難しい」に引き続き、秘めていた歌への思いをたっぷり語ってもらった。

1987年3月6日生まれ、東京都出身。歌手デビュー後、ミュージカルや舞台演劇で頭角を現す。最近の出演作は、ドラマ『#リモラブ~普通の恋は邪道~』、舞台『カメレオンズ・リップ』など多数。この秋には、映画『燃えよ剣』で新選組の斎藤一を演じる(写真:藤本和史)

シンガーソングライターへのこだわり

R&Bに親しみ、ダンスの素養もある。しかも美形とくれば、華やかなダンス&ボーカルという選択肢も多分にあっただろう。しかし、思いをストレートに伝えられるシンガーソングライターにこだわったようだ。

「専門学校に通い始めてまもなく曲を作り始めて、路上ライブで披露したりもしていました。今思うと、聴くに堪えないひどいレベルですが(笑)、それでも自分で書いた歌詞をメロディーに乗せて自分の声で歌うことはすごく楽しかった。自分のありのままの気持ちを曲にして歌う楽しさという点では、シンガーソングライターに勝るものはないんじゃないかと思ったんです。

当時は楽器が弾けなかったので、鼻歌で作ったメロディーをミュージシャン仲間に聴いてもらって、コードを付けてもらって歌っていました。その当時から、自分が聴いてきたR&Bと古き良きポップスをかけ合わせたような、親しみやすい曲を作ろうとしていたとは思います。

歌詞は……当時の僕は聴き手の気持ちなんて一切考えていませんから、『これ、誰が聴くねん!』って突っ込まれそうな(笑)、すごくパーソナルな部分をさらけ出したものでした。僕にとって曲を作り歌うことって、創作であり、思っていても解決できないもやもやをぶつける、吐き出す昇華活動でもあったんですよね。カケラだった思いが、少しずつ曲になっていく過程の1つひとつが大切でした」