ミニシアター系に注力「ザ・シネマメンバーズ」

「ザ・シネマメンバーズ」は、“ミニシアター系のサブスク”というコンセプトの映画配信サービス。CS放送の洋画専門チャンネル、「ザ・シネマ」の配信サービスとして、2018年6月にスタートしたが、2020年4月に現在のコンセプトにリニューアルした。

「大手配信サービスではサイトやアプリを開いたとき、ミニシアター系の作品はない。そうした作品が好きな方々が、ここには自分に関係がある作品しか並んでいないと思える、セレクトの効いたミニシアター系の作品だけの配信サービスを提供したいと考えました」(ザ・シネマ ゼネラルマネージャーの榎本豊氏)

毎月新たに配信開始になるのは2~4本で、配信終了になるものもあり、常時40本ぐらいの品ぞろえ。配信中のラインアップにはエリック・ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』、ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』など、まさに80年代~90年代のミニシアターブームをけん引した監督たちや作品がズラリ。利用料金は月額550円(税込み)。

上が恋愛映画の名手、ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』、下がヴェンダース監督の名を知らしめた『バリ、テキサス』。80年代に公開され、今なお熱狂的なファンを持つ

映画館が手掛ける「APARTMENT」

今年8月11日からスタートした「APARTMENT(アパートメント)」はミニシアターブームをけん引してきた渋谷の映画館Bunkamuraル・シネマが手掛けるサービス。独自に権利を取得した日本初公開作品を中心にオンラインで配信上映する。

「パンデミック以降、劇場が休業を余儀なくされる状況で、米のミニシアター規模の映画興行がヴァーチャルでの可能性を模索していた動きに刺激されて考えたものです。ただパンデミックだから実際の劇場の代替え・つなぎとしてのヴァーチャルではなく、将来につながるような、これまでの劇場運営や映画興行の在り方とは異なるチャレンジをしたいと立ち上げました」と担当する東急文化村美術・映像事業部シネマ運営室の浅倉奏氏は語る。

映画の配信・視聴には動画配信プラットフォームのVimeoを使用。1本ごとに有料鑑賞する。オープニングを飾る2作品は、英国アカデミー賞で『ノマドランド』の7部門を上回る最多8部門ノミネートの『Rocks/ロックス』(サラ・ガヴロン監督)と、往年のロマンチック・コメディー映画の名場面を引用して「ロマコメ映画とは? 愛とは?」というテーマを探求するフィルム・エッセーの『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』(エリザベス・サンキー監督)。それぞれの価格は1200円。決済完了後48時間以内であれば繰り返し視聴できる。

英国アカデミー賞8部門ノミネートの『Rocks/ロックス』。メイクアッブアーティストを夢見る15歳の少女ロックス。突然、母親が失踪し、幼い弟を抱えて路頭に迷うことになった彼女と、その親友たちの奮闘を描く

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コロナ禍の中、映画館に行くのも二の足を踏みがちだが、そんな時に、好きな場所、好きな時間でミニシアター感覚を楽しめるオンライン映画館。次回からは3つのサービスの担当者にセールスポイントやサービスにかける思いを聞く。

(ライター 前田かおり)

『Rocks/ロックス』(C) GIRL UNTITLED LIMITED 
『海辺のポーリーヌ』(C)1983 LES FILMS DU LOSANGE-LA C.E.R.
『パリ、テキサス』(C) 1984 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH
ARGOS FILMS S.A. and CHRIS SIEVERNICH
PRO-JECT FILMPRODUKTION IM FILMVERLAG DER AUTOREN GMBH & CO. KG