親から子へ自然と受け継がれた「海洋堂」流ビジネス

当時の海洋堂には子供だけでなく、日本中からプラモマニアや小売店、メーカーが訪れ、熱く語り合っていたという。小学5年生だった宮脇専務も、豪快な父親の仕事ぶりを間近で見て自然とビジネスを学び取っていった。中学2年のときには、店長として店を任され、仕入れにも出かけるようになった。

「ホビーランド」には当時の海洋堂の勢いと熱気がそのまま伝わってくるような展示コーナーがある。「プラモの山」と題し、模型店時代から収集した4万点のコレクションの一部を公開している。お宝アイテムを含め、当時の箱に入ったままのプラモデル約3000点がうずたかく積まれてある。プラモファンなら心が躍るコーナーだ。

高く積み上げるという展示手法について宮脇専務は「大量のプラモデルに囲まれる醍醐味を味わわせてあげたかった。レトロなパッケージからしみ出る、プラモデルのすばらしさを感じてもらいたい」と説明する。

巨大な恐竜の頭部も精巧に作り込まれている

館内には宮脇館長の好奇心があふれ返っているかのようだ。60年間で集めた奇想天外なお宝の数々を展示した「館長の部屋」はその象徴的コーナー。巨大な恐竜の頭部を間近で見られる展示や、看板や生活用品を通して江戸文化がうかがえるミニチュアコレクションなどが来館者を喜ばせる。

なかでも圧巻の充実度を示すのは、宮脇専務が最も好きだというミリタリーのコレクションと、海洋堂オリジナルのフィギュアを展示するコーナーだ。創業者親子それぞれのこだわりが創造の原点だと感じさせる。

実物の軍服やヘルメットなどを集めた「センムのミリタリーコレクション」

「センムのミリタリーコレクション」では、ミニチュアの戦車など、タミヤのミリタリープラモのほか、第2次世界大戦で実際に使われた軍服、ヘルメットなどの軍装品や機関砲などの兵器を展示。「本物が持つリアリティーやメーカーの思想などが感じられるコレクションは、まさに海洋堂を支えてきた原動力」(宮脇専務)という。

その向かいの展示コーナー「THE KAIYODO」には、1988年からの代表的なフィギュア作品がずらり並ぶ。フィギュアの原型をデザインし、リアルな形に仕上げるプロ「造形師」たちへのリスペクトを表すコーナーだ。

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造形への不満から生まれたリアル感
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