時代を動かす男優 堺雅人と西島秀俊が2トップなワケ日経エンタテインメント!

技巧と肉体による役作り

一方、堺と西島の俳優としての特性は全く異なる。

堺といえば、『半沢直樹』や『リーガルハイ』で見られた「圧巻のセリフ回し」。劇団出身者ならではのテクニックではあるが、「舞台出身だからといって誰でもできるものではない」と、ある映像関係者は言う。「あの明瞭さ、滑舌があってこそ、作品に説得力が出せたんです」。

こうした技巧が、「CMに起用される際の大切なポイントとなってきている」とは、ニホンモニターCM調査課の遠藤雅志氏。高い演技力を持つ人が薦める商品であれば、“確かなもの”に映るのだとか。その辺りが、堺がトヨタ自動車やソフトバンクといった、技術力が要の大企業のCMに起用されている理由のひとつでもありそうだ。

対する西島は、外見を近づける徹底的な役作りで知られる。その最たる例が、映画『サヨナライツカ』(2010年)撮影時の体重の増減。『八重の桜』でも、上半身を鍛え上げた。

【CM】硬派からコミカルまでハマリ役の多様さが武器に。現在放送中のCMは2013年のドラマの影響が大。トヨタ自動車やソフトバンクモバイルで演じている理想の上司像には『半沢直樹』、「キリンのどごし<生>」で演じるコミカルなキャラには『リーガルハイ』のイメージが。トヨタ「ReBorn」では、徳川家康役で、ビートたけし、木村拓哉と共演
【CM】癒やし系な理想の男性の設定に。安心感や清潔感が重要なパナソニックの洗濯機や冷蔵庫といった家電、ローソンでは実際に作って食べ、“上質なおいしさ”を表現するなど女性向けのCM多数。ローソン「おにぎり屋」では、30代40代の女性を中心に売り上げ増に貢献

今の西島の人気は、「韓流スターのそれに通じるものがある」とは、雑誌関係者。『冬のソナタ』(2002年)以降ブームとなった韓流スターは、徴兵制を背景に、体格の良さが特徴。現在ブームは一段落しており、その空いた枠にハマったという見方だ。また、筋肉質な体は、今や男優界の中心的存在ともいえるジャニーズには、あまりない特質でもある。こうして女性たちの心を捉えた結果、西島はCM出演社数を順調に増やしている。

このように見ていくと、2人ともタイプこそ異なれど、作品に対する真摯な姿勢、演技者としての生き様を感じさせる。これは、阿部寛をはじめとする現在、引っ張りだこのO-40男優にも共通している。

以前なら男優の第1次ブレイクは20代だったが、堺は35~36歳、西島に至っては40歳前後。作品主義の今、年齢は関係なくなってきている。こうして生まれたO-40の“オトナ役者”人気。堺と西島は、社会や嗜好の変化に加え、正当な努力の結果、2トップとなったのだ。

(ライター 関亜沙美、日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2014年9月号の記事を基に再構成]

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