投資銀行OBでも投資は簡単じゃない(保田隆明)

やはり、国内だけでも3000以上ある個別銘柄を分析するのは相当な負担です。まさに自分がそうでしたが、投資は資産を増やすためのものなのに、四六時中株価を気にして本業がおろそかになってしまったら本末転倒ですよね。そこでいまは、プロセスの一部をプロにお任せできる投資信託を買っています。

投信は読んで字のごとく「信じて託す」ものです。さわかみ投信の沢上篤人会長がおっしゃるとおり、「バイ・アンド・ホールド」ならぬ「バイ・アンド・フォーゲット」が一番です。私も、毎月定額で引き落として、値動きは何かのついでに見るくらいにしています。

とはいえ、お金を託す以上、どこに投資するのかはよく考えました。私が選んだのは独立系の鎌倉投信です。投信を買うなら、コストを考えると日経平均株価などの指数に連動するインデックス型が一番合理的だといわれますが、それよりも「いい会社を増やそう」という投資哲学に引かれました。

多くの投信が流動性の高い東証1部の銘柄でポートフォリオを組むなか、独立系の投信は東証2部や新興市場、未上場の銘柄まで組み込んでいます。鎌倉投信は「いい会社」を基準に、数字だけではなくて企業の理念もしっかり見ています。成長が見込めても、理念が合わないという理由でポートフォリオから外すこともあるくらいです。

■簿記の単位落とした学生時代

実は、私は大学の簿記の授業で単位を落とすほど会計が苦手でした。マーケティングならまだ何となくイメージできましたが、それがひとたび財務諸表の話になると、社会経験のない学生の身分ではなぜそれが必要なのかもよく分かりませんでした。ところが、教える方は当たり前のこととして教えるので、どうやっても分かりやすくならないんです。

そんな状態で投資銀行に入って、専門用語や慣習の壁に本当に苦労しました。ニューヨークに赴任して実感しましたが、米国のビジネスマンは一般の社員もみんな財務の知識を持っています。キャリアを積むうちにいずれはM&Aや財務戦略に携わることになるかもしれないのに、日本では財務をきちんと学ぶ機会が少ないですよね。

企業財務や投資について分かりやすく解説する本をたくさん書いているのは、自分のような経験をみなさんにしてほしくないという思いからです。株式投資にしても、興味を持つ人が増えているとはいえ知識ゼロから始めるのは大変です。投資を恋愛に例えたり、合コンで聞いた話をもとに株でもうけを狙う女性を主人公にしたり、多くの人が興味を持ちそうなコンテンツに置き換えて伝えることを常に心がけています。

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