手作りスイーツのアフタヌーンティー 東京・恵比寿

2021/9/20
スイーツはすべて店で手作りし、塩味のあるスナックはグループ店のシェフが考案したものを使用
スイーツはすべて店で手作りし、塩味のあるスナックはグループ店のシェフが考案したものを使用

大都会・東京を生き抜く大人には、時として心をいやすための安息が必要だ。もし都会の暮らしに疲れたり、ちょっぴり心がささくれてしまったりしたら、紫色の扉が目印の白亜の邸宅を訪ねてほしい。

東京・恵比寿駅ガーデンプレイス口から徒歩3分ほどの場所にあるとは思えない、おとぎの国のような世界が広がっているから。

チャーミングな紫色の扉を開けると目に飛び込んでくるのは、色とりどりの草花や果物が描かれ「welcome」と記された白いプレート。

そして白を基調とした店内。随所にドライフラワーが飾られ、壁にはモネの絵画をディスプレー。どこか南フランスのオーベルジュのような、都会の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれる静かな時間が流れている。

ここは2021年春にアフタヌーンティー専門店としてオープンした「Atelier plein EBISU(アトリエ プラン エビス)」。「Bistro plein(プラン)OMOTESANDO」や「Bistro plein AZABU」などを運営する「pleinグループ」の新業態だ。

そしてこの場所は、藤木千夏シェフが腕を振るった「Restaurant Umi(レストラン・ウミ)」(現在は閉店)の跡地でもあり、その頃の名残も感じられる。

店は紫色の扉のある白亜の邸宅

柔和な笑顔で客を出迎えてくれるのが、シェフパティシエの田村史奈さん。

製菓学校卒業後、星野リゾートへ新卒入社し、軽井沢ホテルブレストンコートにて8年間パティシエとしての技術研さんを経て、同ホテルチーフパティシエに就任。全日本洋菓子工業会主催の全国アシエットデセール・コンテストで3位入賞しその後、山梨のパティスリーを経験。次の職を探していた時、星野リゾート時代の同期だった「pleinグループ」代表の中尾太一氏に「アフタヌーンティー専門店のシェフパティシエをやらないか」と声をかけられた。

それまで大型ホテルでたくさんの人々にスイーツを提供してきた田村さんは、席数の少ない店でスイーツを提供してみたいという思いもあった。また「アフタヌーンティーはいわばケーキ屋さんのショーケースを全部ちょっとずつ食べられるイメージ。作り手としてもさまざまなことが表現できるのが魅力に感じました」と同店のコンセプトに共感した。

そして決め手となったのは、この白亜の一軒家。「いつか自分のお店を開きたいとイメージを絵に描いてふくらませていたのですが、それがこの一軒家と同じ紫色の扉。この扉の前に立ってお客様をお見送りすることもしっくりきたんです」(田村さん)と運命的なものを感じたと話す。

同店で提供されるアフタヌーンティーは、ノンアルコールドリンクがフリーフローとなる。スイーツはすべて店で手作りし、セイボリー(塩気のあるスナック)は「Bistro plein」のシェフが考案したものを使用。長野出身で実家がリンゴ農家だったという田村さんは「どうやって農作物ができていて、何と何を合わせたらおいしいか、ということを発信するのが生産者の方への感謝だと思っています」と話し、長野県産や前職で付き合いのあった山梨県産の旬食材を使うことにこだわっている。