容赦ない坂上忍の反論を情熱プレゼンで説得
~坂上忍の成長マン!!
日経エンタテインメント!
2014年上半期で216番組に出演し、千原ジュニアと並んで「テレビ番組出演本数ランキング」で16位に入った坂上忍(※ニホンモニター『2014上半期タレント番組出演本数ランキング』調べ)。本業は俳優でありながら、毒舌、潔癖、ギャンブル好きといった特異なキャラクターがバラエティーで受け入れられ、2014年4月には冠番組『坂上忍の成長マン!!』がスタートした。
ひと癖ある坂上に新しい価値観を伝えようと、「ゴルフ」「男の美容術」「スウェットコーデ」など、多岐にわたるジャンルからテーマを設定。それぞれの分野に詳しいタレント2~3人を先生役の「教えマン」として迎え、熱いプレゼンを展開する。生徒役の「成長マン」、坂上の反論には容赦がない。どこまでうまく切り返して説得できるかが見どころになっている。
この番組が誕生したきっかけは、2014年の1月と3月に放送された『ジュニアとロンブー淳 ラブ婚VSダメ婚SP』という単発番組。坂上は、元アイドルと結婚した庄司智春(品川庄司)やあべこうじに向かって「アイドルなんて大したことない」などの暴言を吐き、スタジオを盛り上げている"ガヤ"に対しても、「さっきから何なんだよ」とツッコむなど、トークの流れを無視した発言で大勢のお笑いタレントを圧倒。「芸人のルールが通用しない」とざわつかせ、それでいて「俺はダメ婚じゃない。ダメ人間なの!」と自分を落として弱みをさらけ出した。
「僕らが『ロンドンハーツ』などで何年も見てきた芸人さんの"ひな壇"の世界を、一瞬でぶち壊されたというか(笑)。でも、それが決して嫌な感じではなく、新鮮でもあって、衝撃を受けました」と、プロデューサーの藤城剛氏。すぐに坂上をメーンにした番組をやりたいという話になったという。
サーフィンで意外な一面を見せる
最初は、彼が文句を言う面白さを生かしたいと意識したが、「弱さも見せたりするなど、どこか憎めないのが坂上さんの魅力。毒舌家のイメージは強いですが、もし"いいな"と思ったら、思うがままに"いい"と言えるような方向性にしました」(藤城氏)。
実際に「サーフィン」がテーマのときは、絶対に嫌だという反応から、最後には自ら練習するほど夢中になるまでのドキュメントが見られ、一生懸命にやってみる坂上の姿が新鮮だった。決めごとを作らず、正直な反応をベースに、その場で起こることを楽しむスタンスを大切にしている。
こだわっているのは、教える側が本気でそのテーマを好きなこと。テーマを先に決めてから先生役を探すことが多いが、得意分野の多い渡部建(アンジャッシュ)や綾部祐二(ピース)は登場回数が多い。「チーズ」の回では、渡部のほかに、チーズプロフェッショナルの資格を持つ眞鍋かをりと、専門知識はないものの、チーズ料理が得意な品川祐(品川庄司)が呼ばれた。
「授業ではないので、知識がなくても大好きだという気持ちがあれば。教える側がパーフェクトじゃないところが、面白かったりもします」(藤城氏)。回を重ねるうちに、綾部が「また来たの?」とぞんざいに扱われたり、酒好きの眞鍋がほろ酔いになったりと、出演者イジリが定番化してきたのも楽しい。
深夜24時台の放送でありながら、初回視聴率8.0%という好成績でスタートを切った。その後も6~7%台を記録することが多い。視聴者層については、「坂上さんは30代40代の女性に非常に人気があるので、そこは特に強いです」(藤城氏)。
今後はモノマネのほか、美容系の分野で、「こんなことで30分やるの?」というような意外性のあるテーマを予定しているという。
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2014年9月号の記事を基に再構成]
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