2021/9/25

ブラウン氏とバティギン氏は今回、16年に発表した論文以降の議論にこたえるべく、プラネット・ナインの大きさと軌道を計算し直した。その際、前回とは少し異なる天体に目を付けた。5年前に調べた6個の天体のうち一部は残したが、新たにいくつか別の天体を加え、最終的に11個のカイパーベルト天体を分析対象とした。

その結果、これらの天体の奇妙な軌道は99.6%の確率で、未知の天体の影響を受けているという結論に達した。

米アリゾナ大学のレヌ・マルホトラ氏は、この数字に感心しつつも、逆に言えば250分の1の確率で偶然そうなった可能性もあるということだと指摘する。16年のブラウン氏らによる予測では、その確率は1万分の1だった。マルホトラ氏は、プラネット・ナインの存在を否定も肯定もすることなく、独自にその位置を調べている。

11個の天体の軌道を形作っているものが何であれ、バティギン氏は他にも多くのシミュレーションを実行し、その特徴や、特に位置と質量についての予測を出した。プラネット・ナインの軌道があるであろう方向を指し示す「宝の地図」は、そうやって作成された。ただし、地図のどこに惑星が潜んでいるかはまだ一切わかっていない。

新しく計算された質量は、地球の5~6倍と、過去の予測より小さくなった。同時に軌道も過去の予測より小さくなり、地球に近くなったため、プラネット・ナインはこれまで考えられていたよりも明るく夜空に輝いているはずだ。ただしブラウン氏によれば、惑星が何でできているかによって明るさは変わってくるという。

プラネット・ナインの見つけ方は

もしプラネット・ナインが実在するなら、現在それは地球から最も離れた軌道上にあるのではないかと、ブラウン氏とバティギン氏は考えている。あまりに遠すぎて姿がかすんでしまい、さらに他の星々に紛れて見えなくなっているのだろうと。現在ブラウン氏らは、ハワイ島のマウナケア山にある、すばる望遠鏡を使ってプラネット・ナインを見つけようとしているが、地球上に存在する最も鮮明な望遠鏡であっても、それは容易な仕事ではない。

ブラウン氏らが計算ではじき出した明るさと軌道であれば、プラネット・ナインは天の川に集まる他の明るい星たちに交じって見えにくくなっている可能性が高い。

「隠れているとしたら、天の川のなかだとしか考えられません。こんなに明るく、こんなに近くにあって、こんなに目立つ天体なのですから。でも、もうすぐ見つかると思いますよ」と、米エール大学の天文学者グレッグ・ラフリン氏は話す。

頼みとするのはすばる望遠鏡だけではない。太陽系外惑星を探している米航空宇宙局(NASA)の「トランジット系外惑星探索衛星(TESS)」もまた、プラネット・ナインの軌道があると思われる領域を観測したときに、その姿をとらえるかもしれない。

19年に天文学者たちは、TESSの観測データをうまく処理すれば、太陽系外縁の天体を拾い出せるかもしれないと提案した。現在、ラフリン氏とエール大学のマレナ・ライス氏がこの作業に取り組んでいる。

だが、多くの天文学者が最も期待を寄せているのは、チリの山頂に現在建設中のベラ・ルービン天文台だ。およそ満月40個分という驚異的に広い視野を持つ口径8.4メートルの「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)」は、設置場所から見渡せる限りの夜空を、数日ごとに撮影できるという。23年から本格的な運用が開始されれば、天文学者たちは数百万もの天体の動きを追えるようになるはずだ。

そのなかには、宇宙ゴミ、隕石(いんせき)、彗星(すいせい)、スパイ衛星、恒星、そしてプラネット・ナインが含まれているかもしれない。

(文 NADIA DRAKE、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年9月5日付]

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