答えと解説

正解は、(3)胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がん です。

市町村から定期的に案内がくるがん検診は、健康増進法に基づく健康増進事業として市町村が実施するもので、厚生労働省の指針に基づいて、5つのがんについて以下の項目が実施されています(表1)。自治体によってはこれ以外にも独自に項目が追加されていることもありますが、これらが、がん検診の「押さえておくべき基本メニュー」だと考えるとよいでしょう。

表1 厚生労働省の指針で定められているがん検診の項目

(厚生労働省ホームページより)

自治体のがん検診は「対策型検診」とも呼ばれ、対象となる集団において、そのがんで死亡する人の割合(死亡率)を下げることを目的として、公共政策として実施するものです。税金を投入する以上、公共の利益になる、つまり、その検診を行うことによって死亡率が減るというはっきりした科学的根拠(エビデンス)が得られているものしか実施されません。

現在、対策型検診として行われているがん検診は、表1に示した胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つ。「なぜこの5つかというと、まずは頻度が高いがんであることです。人口における罹患率が高いので、そのがんで亡くなる人が増えるとインパクトが大きく、社会的ロスも大きくなります。それから当然、検査をすることによってがんの死亡率が下がるエビデンスが確立している、という点が挙げられます」。がん検診についての著書もある、近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎さんは、そう説明します。

死亡率の低減効果に加え、コストや安全性も考慮される

対策型検診として実施されるかどうかは、コストの問題もあります。例えば大腸がんの早期発見に役立つ大腸内視鏡検査には、大腸がんの死亡率を下げる効果もあることが近年明らかになりつつあります。しかし、大腸内視鏡検査を実施するには、内視鏡検査が可能な施設と、技術の確かな医師が必要で、対策型検診として大勢の人に実施するとなると、膨大なマンパワーと費用が必要となります。また、頻度は非常に低いものの、検査時に大腸に穴が開いたりする(穿孔)事故の可能性もあります。

便潜血検査であれば、そうしたリスクは皆無で、簡便かつ低コストで一度に多くの件数を実施できます。つまり対策型検診では、死亡率を下げるエビデンス、対象となるがんの罹患率の高さに加え、コストや安全性なども考慮して、実施するメリットが大きいものが選ばれているのです。

対策型検診に採用されている検査の特徴

特徴1 集団における死亡率を減少させるというエビデンスがある
特徴2 安全性が高く、比較的簡便で低コスト
特徴3 罹患率が高いメジャーながんを対象にしている

一方、人間ドックなどで受けるがん検診は「任意型検診」と呼ばれます。対策型で採用されている検査のほか、「がんの発見率は高いが、死亡率を下げる効果がまだはっきりしないもの」、「対象となるがんの罹患者があまり多くないもの」、「コストがかかりすぎて大人数への実施が難しいもの」などが含まれます。

「対策型の5つの検診は、かかる可能性が高いがんの死亡率を下げる効果が明らかな検診です。しかも、税金で費用の大部分を負担してもらえるのだから、受けたほうが絶対にお得です」(近藤さん)。まずは対策型検診をきちんと受診し、さらに、任意型検診の中から自分にとって追加すべき検査は何かを考えていく、というステップがお勧めです。

この記事は、 「がん検診、何をどう受ければいい? 素朴な疑問を一挙解決!」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/012200002/012500002/(梅方久仁子=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年8月18日付記事を再構成]

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