オリジナルクラフトソーダ、店舗でも

大手メーカーや地方のドリンクメーカーだけでなく、飲食店でもクラフトソーダへの関心が高まっている。「生タピオカ専門店 モッチャム」「生クリーム専門店 ミルク」「台湾カステラ ポンポン」などのトレンドフードを提供する飲食店を多く運営するオペレーションファクトリー(大阪市西区)は、21年7月28日に「梅田阪急三番街リバーカフェ」で、ハーブやスパイスなどを使用して店内で作る「リバーカフェクラフト」シリーズの期間限定販売をスタートさせた。

高知県産のショウガを煮出し、蜂蜜とクローブ・シナモンなどのスパイスを加えてすっきり仕上げた「手作りジンジャーエール」(写真提供:オペレーションファクトリー)
国産のレモンと砂糖だけで作ったシンプルな「手作りレモネード」(写真提供:オペレーションファクトリー)

同店の佐藤伸マネージャーによると20年に発令された最初の緊急事態宣言が明けた頃から、ノンアルコールドリンクに注力する方針が決まり、新しいドリンクの開発に着手することになった。そのときに注目したのが、当時話題になっていたクラフトコーラ。「コーラといえば市販品のイメージが強いため、手作りであるという意外さと面白さが受けるのではと直感した」(佐藤マネージャー)

研究のために各地のクラフトコーラを取り寄せ、試作を重ねたが、苦慮したのが「独自性」だ。市販のコーラに似た味を作ることはできるが、それだと「市販品を買ったほうが安い」ということになってしまう。「独自性を持たせるために、全国のクラフトコーラを取り寄せて試飲したが、どれも市販のコーラにない独特のおいしさがあり、正解が分からなくなってしまった」(佐藤マネージャー)。試行錯誤しながらも「これならば」という商品を2カ月間で完成させたという。

「予想を超える需要」があり継続決定

現在は、クラフトコーラのほか、ジンジャーエールやレモネードなど4種類を取りそろえる。いずれも販売は好調。予想を超える需要があったため、「新型コロナ禍によるアルコール自粛期間とは関係なく、今後もこのシリーズを継続していくことになった」(佐藤マネージャー)

佐藤マネージャーによると、購入者が注文時に着目しているのは、市販品との違いだという。炭酸飲料の味は、市販品をイメージする人が多いため、「手作りだとどう違うんだろう」「どんな味なんだろう」という好奇心から注文する人が圧倒的に多い印象だという。飲んだ感想はおおむね「思っていたのと違う」「でもおいしい」とポジティブなもので、さらに「市販品と違って毎日安心して飲める」という声も多いそうだ。

「親しみのある市販品の炭酸飲料の味とのイメージのズレ、その面白さも、好調の要因の一つ」(佐藤マネージャー)。また、夏は爽快感のある炭酸飲料を求めやすくなるが、市販の炭酸飲料の中には糖分を多く含むものが少なくない。保存のための添加物を使用しているケースも多々ある。「弊店のクラフトソーダは、市販品に比べると糖分が少なく、スパイスも全て店で調合している」(佐藤マネージャー)。原材料への安心感も、訴求ポイントになったのではないかという。

クラフトソーダはお酒同様の存在感

スタジオオカムラによれば、高級レストランのシェフがベルガモットスパークリングを採用する理由の多くは「味わいが繊細で、料理の邪魔をしないから」。同社のベルガモットスパークリングは市販の炭酸飲料に近い糖分があり、それほど糖分を控えているわけではないものの、味わいがすっきりしていると評価が高いそうだ。梅田阪急三番街リバーカフェのリバーカフェクラフトも、「すっきりしていて、食事と一緒に楽しめる」という感想が多いという。

全国清涼飲料連合会の公式サイトによると、同サイトに掲載希望がある「ご当地サイダー・地ラムネ」だけでも、日本全国に200種類以上があり、近年、増加傾向にある。こうしたご当地サイダー・地ラムネは、小規模な施設で地産の食材を使い手作りしているため、クラフトソーダに分類されるものもあるかもしれない。現段階ではフルーツを使った甘い味を連想させるものが圧倒的に多く、そのものの味を楽しむ商品が多そうだが、大人向けの洗練されたものが出てくると、クラフトソーダがより広まりそうだ。

(ライター 桑原恵美子)

[日経クロストレンド 2021年8月31日の記事を再構成]

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