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クラフトソーダ人気の兆し 高級ホテルが相次ぎ採用

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ノンアルコールの食中ドリンクといえば、ウーロン茶や無糖の炭酸水などが好まれてきた。しかし近年、若者の飲酒量は減っており、大手メーカーはビールテイスト飲料をはじめとする、ノンアルコール飲料や大人向け炭酸入りソフトドリンクを次々と発売している。同時に注目されるのが、大手メーカーとは異なるスタンスで作られているクラフトソーダだ。

クラフトソーダは、米国では5、6年前から流行が始まった「手作り感豊かな炭酸飲料」であり、こだわりを感じさせるものが多い。ただ明確な定義はないようで、クラフトビールが「個性あふれるビールを少量生産するメーカーのビール」(出典:全国地ビール醸造者協議会)のことであるのに対し、そのソフトドリンク版と言えそうだ。

若年層の飲酒率は20年で半分以下に

日本の成人1人当たりの1年間の酒類消費数量は、1992年(平成4年)度の101.8リットルをピークとして減少傾向にあり、2018年(平成30年)度には79.3リットルとピーク時から約2割減少している(国税庁課税部酒税課「酒のしおり」2020年〈令和2年〉版)。

特に若年層の酒離れは顕著で、厚生労働省「国民健康・栄養調査」によれば、20代の男性の飲酒習慣率(週3日以上、1日1合以上飲酒する割合)は1989年(平成元年)は32.5%だったが、2010年(平成22年)は14.7%と半分以下に減少。さらに19年(令和元年)は「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(=1日当たりの純アルコール摂取量が男性:40グラム以上、女性:20グラム以上)の割合」が6.4%と、確実に減っている。

こうした中、欧米で登場した「あえてお酒を飲まない生活を選択している人」を指す「ソバーキュリアス」が、日本でも紹介される機会が増えた。英語で「酔っていない」という意味を持つ「sober」と、「好奇心旺盛な」という意味の「curious」を合わせた造語であるソバーキュリアスの中心は20~30代のミレニアル世代以下。体質的にお酒が飲めないというより、「お酒によって浪費される時間を減らし、より生活の質を高めたい」と考えている層だ。

ソバーキュリアスは単なる酒離れをした人たちではなく、お酒に酔うことで無駄になる時間を減らしたいと考えている。つまり「お酒と同じように食事を盛り上げる飲み物」を求める傾向はあり、クラフトソーダはこうしたニーズにも応える飲み物と言える。

ハイブランドの飲食店やホテルで展開

そんなクラフトソーダの一つが、スタジオオカムラ(高知市)が、「はるのテラス」ブランドで製造販売する、国産ベルガモットを使用したクラフトソーダ「ベルガモットスパークリング」だ。シャンパンに代わるノンアルコールドリンクとして、銀座ブルガリ イルリストランテ、ホテルニューオータニ、ハイアットリージェンシー箱根、リゾートトラストといったハイブランドのレストランや高級ホテルなどで採用されている。

特徴は、2日間かけてゆっくりと炭酸ガスを溶かし込んだことによって、シャンパンのように細かくデリケートな泡が立つこと。そこにショウガの刺激とベルガモットのりんとした上品な香りがミックスされ、アルコール飲料を飲んでいるような気分が味わえる。

はるのテラスの商品の外商などを担当する、スタジオオカムラの蔵田克巳氏によると、開発当初のターゲットはお酒を飲めない女性。飲用シーンは、女子会やパーティー、結婚式などの乾杯などを想定していた。

「大手メーカーの炭酸飲料と比較すると価格は高めだが、ノンアルコールでも華やかな気分になれる、高級感のある大人向けのドリンクがあれば、受け入れられると考えた。ボトルのデザインも、そうした場にふさわしいものを意識した」(蔵田氏)

温暖化によるミカン農家の不安が発端

はるのテラスは00年に写真館とベーカリーカフェの複合店舗としてスタートし、店の駐車場の一角で地元産品を紹介する小さな市場を始めた。やがて夏場に収入が途絶えるかんきつ農家のために、新たな収入源となる商品の開発を手掛けるようになり、09年に開発したのが、摘果する酸度の強い青ミカンを酸味料として使用した「黄金しょうがのジンジャーエール」だ。

「化学的な酸味料を使用せずに酸化を抑えられる上、完熟ミカンよりも爽やかな青ミカンの香りも加わる。大手メーカーにはできないことなので、強みになると考えた」(蔵田氏)。同商品は現在、世界的に有名なハイブランドのショップで、ウエルカムドリンクとして採用されている。

国産ベルガモットの栽培に着手したのは、高知県の特産である温州ミカンの農家が相場の下落と需要の低迷に苦しんでいたことと、温暖化の進行によって栽培不適地になる可能性が高いという将来的な不安があったこと。「年間平均気温があと0.5度上昇すれば、高知県も温州ミカンの栽培適地ではなくなり、質の高い温州ミカンが栽培できなくなるというデータがある」(蔵田氏)

そこで温州ミカンの代替品種として09年にベルガモットの栽培計画がスタート。11年から栽培に着手し、世界最高品質といわれるイタリア・カラブリア地方の品質を目標とした。14年にはベルガモット200キログラムの収穫に成功。それまで小規模で栽培していた農家はあったが、産業ベースでの栽培成功は日本初だったという。

さらに真空減圧蒸留法を使用した原料から抽出したオイルで商品を開発。翌15年にベルガモットスパークリングを発売すると、直後に伊勢丹新宿店で取り扱いが始まるなど注目された。

蔵田氏が考える地方のクラフトソーダ・メーカーの強みは、大手では手掛けられない素材や製法を採用していること。高知県でのベルガモットの現在の収穫量は年間4トン前後にまで増えているが「大手メーカーが全国発売できる量には程遠い」と語る。

同社では現在、9種類のクラフトソーダを含む14種類の飲料を販売。09年のスタート時は全体で月産3000本程度だったが、現在は月産約1万5000本を生産している。同社全体では売り上げも13年ごろから伸び続けている。コロナ禍での飲食店の売り上げ減少に伴い、微増程度にとどまっているものの、今後はノンアルコールドリンクが定着するとみて、大きな期待を寄せている。

オリジナルクラフトソーダ、店舗でも

大手メーカーや地方のドリンクメーカーだけでなく、飲食店でもクラフトソーダへの関心が高まっている。「生タピオカ専門店 モッチャム」「生クリーム専門店 ミルク」「台湾カステラ ポンポン」などのトレンドフードを提供する飲食店を多く運営するオペレーションファクトリー(大阪市西区)は、21年7月28日に「梅田阪急三番街リバーカフェ」で、ハーブやスパイスなどを使用して店内で作る「リバーカフェクラフト」シリーズの期間限定販売をスタートさせた。

同店の佐藤伸マネージャーによると20年に発令された最初の緊急事態宣言が明けた頃から、ノンアルコールドリンクに注力する方針が決まり、新しいドリンクの開発に着手することになった。そのときに注目したのが、当時話題になっていたクラフトコーラ。「コーラといえば市販品のイメージが強いため、手作りであるという意外さと面白さが受けるのではと直感した」(佐藤マネージャー)

研究のために各地のクラフトコーラを取り寄せ、試作を重ねたが、苦慮したのが「独自性」だ。市販のコーラに似た味を作ることはできるが、それだと「市販品を買ったほうが安い」ということになってしまう。「独自性を持たせるために、全国のクラフトコーラを取り寄せて試飲したが、どれも市販のコーラにない独特のおいしさがあり、正解が分からなくなってしまった」(佐藤マネージャー)。試行錯誤しながらも「これならば」という商品を2カ月間で完成させたという。

「予想を超える需要」があり継続決定

現在は、クラフトコーラのほか、ジンジャーエールやレモネードなど4種類を取りそろえる。いずれも販売は好調。予想を超える需要があったため、「新型コロナ禍によるアルコール自粛期間とは関係なく、今後もこのシリーズを継続していくことになった」(佐藤マネージャー)

佐藤マネージャーによると、購入者が注文時に着目しているのは、市販品との違いだという。炭酸飲料の味は、市販品をイメージする人が多いため、「手作りだとどう違うんだろう」「どんな味なんだろう」という好奇心から注文する人が圧倒的に多い印象だという。飲んだ感想はおおむね「思っていたのと違う」「でもおいしい」とポジティブなもので、さらに「市販品と違って毎日安心して飲める」という声も多いそうだ。

「親しみのある市販品の炭酸飲料の味とのイメージのズレ、その面白さも、好調の要因の一つ」(佐藤マネージャー)。また、夏は爽快感のある炭酸飲料を求めやすくなるが、市販の炭酸飲料の中には糖分を多く含むものが少なくない。保存のための添加物を使用しているケースも多々ある。「弊店のクラフトソーダは、市販品に比べると糖分が少なく、スパイスも全て店で調合している」(佐藤マネージャー)。原材料への安心感も、訴求ポイントになったのではないかという。

クラフトソーダはお酒同様の存在感

スタジオオカムラによれば、高級レストランのシェフがベルガモットスパークリングを採用する理由の多くは「味わいが繊細で、料理の邪魔をしないから」。同社のベルガモットスパークリングは市販の炭酸飲料に近い糖分があり、それほど糖分を控えているわけではないものの、味わいがすっきりしていると評価が高いそうだ。梅田阪急三番街リバーカフェのリバーカフェクラフトも、「すっきりしていて、食事と一緒に楽しめる」という感想が多いという。

全国清涼飲料連合会の公式サイトによると、同サイトに掲載希望がある「ご当地サイダー・地ラムネ」だけでも、日本全国に200種類以上があり、近年、増加傾向にある。こうしたご当地サイダー・地ラムネは、小規模な施設で地産の食材を使い手作りしているため、クラフトソーダに分類されるものもあるかもしれない。現段階ではフルーツを使った甘い味を連想させるものが圧倒的に多く、そのものの味を楽しむ商品が多そうだが、大人向けの洗練されたものが出てくると、クラフトソーダがより広まりそうだ。

(ライター 桑原恵美子)

[日経クロストレンド 2021年8月31日の記事を再構成]

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