身の回りにはデタラメがいくらでも転がっている。騙されないためには、どうしたらいいのだろう。重要なのは、注意を払うクセをつけることだと私たちは考える。結局、それが自分の身を守ることになる。たとえば人は車で通勤するとき、赤信号を無視するドライバーはいないかとほとんど無意識に目を光らせている。夜道を1人で歩く際には、周囲の様子に敏感になって危険をいち早く察知しようとする。デタラメを見抜くのも、同じこと。とにかく注意を怠らない。それを習慣化するうちに、誤った方向に誘導しようとする主張や分析を見抜く技が磨かれていく。
(第10章 デタラメを見破る 335ページ)

データの世紀に、誤情報に惑わされずに行動する基本を深く考えさせてくれる一冊です。

◆編集者のひとこと 日本経済新聞出版・金東洋

昨今は宇宙にもゴミがたくさんあって人類文明を危険にさらしているそうですが、オンライン上のゴミも人類文明を脅かしています。そのゴミとは、ウソ、偽情報、誤情報、つまり「デタラメ」のことです。しかも新型のデタラメは、情報に数値を絡めることで、反論しにくい雰囲気を醸し出しています。「統計学的に正しい」「AIが出した答え」と言われると、とたんに権威付けされた感じになります。データを視覚化されると、それがいかにインチキでも信じてしまう傾向が強まります。

ソーシャルメディア上では同じような興味関心を持つ人たちが集約される傾向にあるため、「確証バイアス」が強く機能します。そのため、ワクチン懐疑派にはワクチンが危険だという情報だけが集まり、日ごろから抱く信念を肯定してくれます。するとそれがウソかどうかをファクトチェックしようという気持ちも薄くなります。なにせ、自分の考えに合っているのですから。そして繰り返し同じような主張を目にしていると、それが真実だと錯誤するようになります(真理の錯誤効果)。

本書ではワシントン大学でデータを論理的かつ定量的に考える方法を教えてきた教授らが、偽情報とウソを見破るテクニックを教えてくれます。もしもデタラメを発信する人を見つけたら、謙虚かつ寛容な気持ちで、わかりやすくデタラメを指摘してあげましょう(聞く耳を持つ相手であれば)。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。

デタラメ データ社会の嘘を見抜く

著者 : カール・T・バーグストローム、ジェヴィン・D・ウエスト
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 2,200 円(税込み)