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偽情報が飛び交う情報社会でどう本質を見抜くか、その能力が問われている

偽情報が飛び交う情報社会でどう本質を見抜くか、その能力が問われている

情報が飛び交う社会の中で、数々の偽情報もまた氾濫している。それは、数値やデータといった一見、もっともらしく事実と思わせるように我々に忍び寄る。本書『デタラメ データ社会の嘘を見抜く』は、こうしたフェイクニュースを見極めるすべについて書かれた指南書だ。正しい情報と接するにはどうしたらいいのか。メディアリテラシーを身につける上で、参考になる一冊だ。

◇   ◇   ◇

共著者の一人、カール・T・バーグストローム氏は、ワシントン大学生物学部教授で、進化生物学者。本書によると、細胞内の遺伝子発現からソーシャルメディア上の誤情報の拡散に至るまであらゆる種類の情報の流れを研究しているといいます。もう一人のジェヴィン・D・ウエスト氏は、ワシントン大学情報学大学院准教授。同大学のeサイエンス研究所においてデータサイエンス教育のコーディネーターを務めています。ともに、データサイエンスの学術領域から、偽情報・誤情報の見破り方を指南しています。

著者のカール・T・バーグストローム氏

著者のカール・T・バーグストローム氏

著者のジェヴィン・D・ウエスト氏

著者のジェヴィン・D・ウエスト氏

インターネット時代、情報の真贋をどう見抜く

インターネット、SNS(交流サイト)。あらゆる情報に自由にアクセスできる環境下で飛び交う情報もまた様々です。かつてのような、印刷機で発信される活字文化とは違い、誰もが自由に情報を発信できる時代になりました。

情報に対するハードルが下がり、あまたに氾濫する情報の中から、今度は我々が積極的に見極めていかなければならない選択肢を突きつけられているのだと、著者は指摘しています。いわば、正しい情報は何かを我々自身が見極め、それらに接していかなければならないようになってきました。

それは同時に、数値でまことしやかに見せる偽情報や、誤情報などとも対峙しなければならないということでもあります。本書で一貫して述べられていることは、その対策に尽きます。インターネット時代、情報の真贋(しんがん)をどう見抜くかが本書のテーマです。

何かを世の中に発表する場合、1980年代にはお金をかけて出版する必要があった。活字を組む費用は高額で、印刷にもかなりの経費がかかった。出来上がった紙の現物は流通経路に乗せて読者の手元に届けなくてはならない。今やパソコンとインターネット接続さえあれば、誰でもプロ顔負けの完成度の高い文書を作成し、世界中に配布できる。コストをかけず、パジャマを着たままで。(中略)
アマチュアのライターが書いたものでもソーシャルメディアで拡散すれば、プロのジャーナリスト並に多くの読み手に届く。ただし中身の質は、果たしてプロの水準に達するだろうか。一般的なインターネット・ユーザはジャーナリストとしての訓練を受けているわけではない。正確に伝えようというインセンティブもない。空前の規模で大量の情報にアクセスできるのに、情報の信頼度はあきらかに低いのだ。
(第2章 メディア、メッセージ、偽情報 36~37ページ)

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