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 働く障害者の活躍の場が広がっている。福祉団体の就労施設で農業を学んで後継者不足に悩む農家の作業を手伝ったり、企業で能力を評価され管理職になったりするケースも出てきた。地域や企業での役割拡大で、障害者の自立の道はさらに開けていくのか。
ネギ畑で働く中山さん(茨城県つくば市)

ネギ畑で働く中山さん(茨城県つくば市)

「将来は農業で生計を立てるのが夢」。7月下旬、茨城県つくば市内にあるネギ畑で、精神障害者の中山健太郎さん(24)は雑草を取っていた。中山さんは、普段はNPO法人つくばアグリチャレンジ(五十嵐立青代表理事)が運営する農業関連の就労施設「ごきげんファーム」で働き、ネギ畑に有償で派遣されている。

賃金増目指す

就労施設とは障害者が企業などへの就職を目指す職業訓練の場。同法人は2010年11月、後継者不足の農家と働く意欲のある障害者を結びつける狙いで設立、同ファームを開設した。精神、身体、知的障害者の計65人が働きながら農業を学ぶ。

中山さんが働くネギ畑は地元の高齢農家の土地。「つくばの農家も若者の担い手が少なく農作業を手伝ってほしいという依頼は多い。障害者に対する見方も変わってきた」と五十嵐さんは自信を示す。同法人は自前で栽培した野菜を販売したり、全国に宅配したりもする。障害者はローテーションを組み働く。

障害者の就労施設は、箱の組み立てや封入など下請け作業が一般的で低賃金に甘んじてきた。障害年金があるといっても親がいなくなったら生活の継続は難しく、国は障害者の自立へ賃金アップを施設側に促してきた。

これを受けて、施設を運営する社会福祉法人やNPO法人が、事業範囲を広げて障害者の賃金を増やす試みがでてきた。農業支援や、車を運転できず買い物に行けない高齢者向けに食品を大型車で販売する「移動スーパー」といった取り組みが全国で相次ぐ。

 ▼福祉団体の就労施設 障害などの理由で民間企業に雇用されることが難しい人たちが、リハビリや職業訓練を含めて働き社会参加を実現している施設。障害者総合支援法に基づき、「就労継続支援A型事業」「就労継続支援B型事業」と2種類の施設がある。
 「A型事業」は、福祉団体が障害者を直接雇用し、最低賃金を保障する。「B型事業」は雇用契約を結ばず、障害者が比較的自由に働けるようにする。B型は全国に7300カ所ほどあり、約16万人が働く。賃金体系や労働法規に関して法令の適用外。国は指定にあたって賃金の目標額を事業所ごとに定めさせる。A型、B型いずれも利用期間に制限はない。

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