アイスクリームなどのスイーツで定番人気の抹茶だが、飲み物として日常的に飲む人は少ないかもしれない。「抹茶の機能性を探る『抹茶と健康研究会』を2017年よりスタートし、新たな知見が明らかになってきました」とネスレ日本ウエルネスコミュニケーション室室長の福島洋一さん。私たちが知らない抹茶のパワー、アンチエイジングの可能性について聞いた。
抹茶ならではの3つの特徴。緑茶より栄養成分をたっぷり含む
前回記事(「緑茶でがん・脳卒中リスク減も 1日数杯こまめに飲む」)では、世界で注目されている緑茶の健康効果についてお伝えした。
さらに今、国内で新たなエビデンスが集まりつつあるのが「抹茶」の機能性だ。
福島さんは、2017年より「抹茶と健康研究会」の設立に携わり、2017年から開始した助成研究公募では、3カ年で国内合計20研究が実施されてきたという。「抹茶には煎茶などの一般的な緑茶よりも豊富な栄養成分が含まれているにもかかわらず、あまりにも抹茶としてのエビデンスが少ないことから助成研究を開始しました」(福島さん)
抹茶と緑茶の違いは、茶葉の栽培方法(収穫前の遮光など)や飲み方の違いにあり、それが成分の違いにつながるという。
「煎茶は湯で茶葉の成分を抽出しますが、抹茶は粉を湯で溶いてまるごと、しかも濃い状態で飲むという違いがあります。このため以下のような成分の違いがあります」(福島さん)


まずは、抹茶に含まれる成分について見ていこう。上記の表から見てわかるように、煎茶には含まれないルテインとビタミンKが抹茶には含まれる。「抹茶1杯には約1mgのルテイン(色素成分)が含まれます。ルテインもカテキンと同様、抗酸化作用を持ち、特に目の網膜に沈着してブルーライトから目を守る働きが知られています。体内では合成できないので食事から摂取する必要がある重要な成分です」(福島さん)