(4)ディスクロージャーとフィードバックで未開の自分を発見

他者からのフィードバックに加え、自らの行動について周囲に開示することは、自分の可能性を広げることができます。図1は他者からのフィードバックとディスクロージャー(自己の開示)の効果を図解したものです(「ジョハリの窓」と呼ばれる概念)。

自分にも他人にも分かっている部分は「パブリックの領域」と呼ばれます。自分には分からないが、他人には知られている部分は「ブラインドの領域」、自分は分かっているが、他人には知られていない部分を「プライベートの領域」、自分も意識しておらず、他人も知らない領域を「アンノウン(未開)の領域」と呼びます。他人からのフィードバックが得られないと、ブラインドの領域が広がり、自身の効果性、つまり自分に対する他者からのポジティブな理解を損なうことにつながります。逆に、周囲からのフィードバックが多ければ多いほど、自身の「パブリックの領域」がブラインドの領域に広がり、自身のブラインドの領域は徐々に縮小していきます(以下、図2)。

また、自分がいかに行動するかを他人と分かち合う説明の頻度が多いほど、パブリックの領域がより大きくプライベートの領域へと広がっていきます。

このように評価される側と評価する側の間でフィードバックとディスクロージャーが並行して起こると、パブリックの領域がブラインドとプライベートの領域に拡大するだけでなく、もともと未知の領域(自分も意識せず、他人にも知られていない部分=潜在意識)の一部がパブリックの領域として現れ、双方で分からなかった行動の原因が理解できるようになると考えられます(赤枠で囲った新発見領域)。

多面評価は自身の言動に関する有効なフィードバックシステムであり、自己開発を促進する手段です。少しの工夫で自己改善に有益な情報を得られます。評価項目数を減らすことで、限定された領域だけは正確に評価できるように工夫し、評価者の負担を軽減することも有効だと考えられます。立場の異なるさまざまな評価者全員に評価者としてのトレーニングを受けてもらい、評価項目内容に基づいた行動観察と的確な評価を得ることも有用です。

自身の考え方や行動の基準を積極的に周囲に開示することに加え、他人からのフィードバックを受けることで、自分も相手も知らない自分が見えてきます。この評価を1回きりで終わらせず、継続的なフィードバックや新たな評価項目を加えることで、自分の可能性の領域を広げ、職務パフォーマンスを向上させながら持続的な成長につなげてほしいと思います。

油布顕史(KPMGコンサルティング)
組織・人材マネジメント領域で20年以上のコンサルティング経験を有する。大手金融機関・製造業・サービス業界の人事改革支援に従事。事業会社、会計系コンサルティングファームを経て現職。組織人事にまつわる変革支援-組織設計、人事戦略、人事制度(評価、報酬、タレントマネジメント)の導入・定着支援、働き方改革、組織風土改革、チェンジマネジメントの領域において数多くのプロジェクトを推進。企業向けの講演多数。

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