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「THE FIRST」という現象、彼らの存在を世間に証明したかった

3番目の課題は「VSプロアーティスト審査」。ここでボーイズの対戦相手となった“プロアーティスト”とは、SKY-HI自身だった。「THE FIRST」のために作った楽曲『To The First』をここまで残ったボーイズ自身がカバーするというエモーショナルな審査は、ある意味、オーディションのクライマックスに近い演出のようにも感じられたが、実際の意図はどこにあったのか。

「3次審査の際、既存のアーティストの曲を歌うことがカラオケの延長になってしまっている人も少なくなかったと話しました。

しかしその後、自らのアーティシズムやクリエイティビティを試される『クリエイティブ審査』、オリジナルの課題曲を表現する『擬似プロ審査』を経て、再び既存のアーティストの曲をやれば、明らかに個々の成長が分かると思ったからです。歌の振り分けや振り付けも彼ら自身が手掛けるなど、ここまでやってきた審査のハイブリッド的な要素も大きかったです。

技術的な部分で言えば、グループにおけるラップは歌唱法の1つ。グルーヴをしっかり捉えてアクセントを描き、自分が考える最適な発声に切り替えていくことが必要になります。この『To The First』はリズムとメロディーの構成上、ラップの適性が分かりやすいし、逆にラップをしても歌の適性が分かりやすい。そこも課題曲としたポイントです。

もう1つ、『To The First』は僕自身が彼らの人生に沿う歌詞を書いた曲。僕が彼らとの接し方を間違えてさえいなければ、彼らの心身にもこのメッセージがしっかり入っていってくれるだろうと信じたからです。そういう意味では、僕自身も試されていた審査でした。

審査であると同時に、ここまでで脱落していった人たちも含めた『THE FIRST』という現象が今ここで起きていることを、世の中に証明したい気持ちもありました。つまり、『VSプロアーティスト審査』とは『VS俺』でありながら、僕たちの『VS世間』だったんです。

この『To The First』を含め、『THE FIRST』では、どの課題曲も『楽曲そのものがエモーショナルである』ことをとても大事にしています。『THE FIRST』は、ボーイズグループのデビューメンバーを選抜する単なるオーディションではなく、『彼らがアーティストとしての強い意志を持ち、世間に自分たちの存在を証明していく物語』だと思っていますから」

SKY-HI(日高光啓)
 1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任。9月1日から『Dive To World feat. Takuya Yamanaka(THE ORAL CIGARETTES)』配信中。10月27日には約3年ぶりのオリジナル・アルバム『八面六臂』をリリース予定。

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(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2021年9月号の記事を再構成]