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堂本光一君と一緒に居眠り 安心感と刺激(井上芳雄)

第99回

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。9月7日から大阪・梅田芸術劇場メインホールでミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』の再演が始まります。10月からは東京・帝国劇場、その後は福岡・博多座で計97公演が予定されています。2018年の世界初演、そして20年のコンサートバージョンを経て、コンサート版で生まれた新曲も盛り込んだ、新しく進化した『ナイツ・テイル』をお届けできるのはうれしい限り。脚本・演出のジョン・ケアードや堂本光一君をはじめすてきな仲間たちとまた一緒に、この作品をやれる幸せをかみしめています。

『ナイツ・テイル』は、シェイクスピア最後の作品『二人の貴公子』(共作・ジョン・フレッチャー)をミュージカル化したオリジナル作品です。従兄弟同士でライバルでもある2人の騎士が、同じ女性を愛したことで、愛と名誉と生死をかけて決闘を挑むことになるという話です。ジョンはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターで、『レ・ミゼラブル』初演を演出した世界的な演出家。彼をはじめ海外からもスタッフが参加した国際的なプロジェクトで、僕にとっても光一君と初めて共演した思い入れの深い作品です。初演の当時から、キャストのみんなが再演を願っていて、それが3年後の今年かないました。仲間と再会して、この作品をまたやれるのは本当にうれしいし、稽古も楽しくて幸せなのですが、初演のときと違うのが新型コロナウイルス禍。世の中や演劇界がこんな状況になっているとは、3年前は想像もつきませんでした。

ジョンは昨年のコンサート版では来日できなかったけど、今年は来られたので、彼の演出を直接受けられるのも3年ぶりの喜びです。ロンドンでは1年以上劇場が閉鎖されていたので、久しぶりの舞台の仕事だと思います。「日本の劇場がなんとか上演を続けられたのはすごいことだと、海外の演劇人は見ていたよ」と言ってました。ジョンは相変わらずひょうひょうとしています。コンサート版の稽古も、同じくジョンの脚本・演出で昨年再演した『ダディ・ロング・レッグズ』の稽古もリモートだったので、「早く会いたい。会ったら感動して泣いちゃうんじゃないか」と思っていたのですが、実際に再会したら、彼があまりに普通の様子なので、涙は出ませんでした(笑)。ただただ演劇を作りに来たという感じが彼らしく、それがうれしかったし、安心もしました。

そんなジョンですが、稽古場ではとてもエネルギッシュです。どんどん演出を変えていくから、やっぱり思いをためていたんだなと。今回はっきり変わったのは、新曲が加わったこと。コンサート版で初披露したのですが、光一君と僕のソロが1曲ずつ増えて、始まる前のオーバーチュア(序曲)もできて、カーテンコールの曲も増えると思います。同じ曲でもメロディーが違ったり、もっとエネルギーが欲しいとか、テンポを速くしたいとか、アグレッシブに変えています。僕はまだ全体を把握できていませんが、初演とは曲の印象がずいぶん違うのではないでしょうか。

セリフのテンポが上がりスピーディーに

ストーリーやキャラクターは変わらないですが、光一君と僕が演じる役の違いはより明確になりました。光一君が演じるアーサイトは、前へ前へと進むまっすぐなタイプの騎士ですが、僕が演じるパラモンは本当にこれでいいのだろうかとか、本当は戦いたくないと思っていたり、悩んだり迷ったりするタイプ。同じ女性を2人で奪い合うのも、パラモンの方はすごくほれているというよりも、アーサイトへの対抗心からというところがあります。そんなふうにキャラクターが深まり、より演じやすくなったと感じています。

僕自身の変化で言えば、セリフがとても言いやすくなりました。シェイクスピアのセリフなので、普通の口語ではなく朗詠調で、倒置法や体言止めもあります。普段言い慣れないので、初演では苦労した覚えがあります。今回は再演なのに加えて、今年に入ってから『日本人のへそ』『首切り王子と愚かな女』とストレートプレイ(セリフだけの演劇)が続いたので、セリフを言うことに対する抵抗感がなくなってきたのでしょうか。セリフがなじんできて、その分テンポが上がって、スピーディーになっている気がします。

光一君とは、久しぶりに作品で一緒になり、取材を受けたりすると、やっぱり安心感や安定感があって、刺激も受けます。光一君は稽古と同時進行で、ソロのコンサートツアーがあり、9月から帝劇で上演される『DREAM BOYS』というジャニーズの後輩たちの舞台の演出もしていました。この3年で状況が変わり、すごく忙しくなっているので大変だと思うのですが、それを生き生きとやっていて、すごいなと感心します。『ナイツ・テイル』の稽古は相変わらず本気で臨むので、夕方になると僕たち2人とも疲れて、居眠りしたりするのは今回の再演ならではの現象かな(笑)。ほかのキャストの方もみんなすごくいい雰囲気なので、『ナイツ・テイル』が戻ってきたという感じがします。

光一君は演出もやっているから、動きにしてもすごく考えながらやるし、周りの全体を見て、その役柄にはこっちのほうが合っているんじゃないかといった話もします。僕は基本的に自分のことしか分からないので、視点が全然違っているとあらためて思います。それと、『SHOCK』がそうであるように、再演を重ねることに慣れているというか、深めていくのが得意なんだなと。僕は毎回あえて忘れてしまうところがあるのですが、光一君はポイントをちゃんと覚えています。歌も踊りもできるし、お芝居もずっとやっているからミュージカル俳優として必要な技術をすべて持っていて、さらに演出もやるので、すべての要素が物語のためにあるという方向性がはっきりしています。その上で、圧倒的に「華」があるのが光一君の特徴です。こればかりは努力でどうにかなるものではなくて、やっぱりスターなんですね。今回の新曲は、1人で歌い踊るのですが、それって成立させるのがすごく難しいことで、華があるからこそ成り立つ場面です。その一方で、舞台に立つ直前まで「できるかな」とか「心配だな」とか、ずっと弱音を吐いているので、そこのギャップが人としてチャーミングなところでもあります。

『ナイツ・テイル』にしかない空気感と世界観

『ナイツ・テイル』という作品自体も、初演とは見え方が違ってくると思います。ジョンが少しずつ手直ししていて、最終的な形は僕にもまだ分かりません。特に直していたのがキャラクターをはっきりさせることで、例えば大勢の人が出ている場面で大事なことを言っている人がちゃんと立つように、周りの人の反応の仕方を細かく修正していくようなことです。物語がよりはっきりしてきたし、それが積み重なってエンディングがさらに感動的だったり、幸福感が増していたりするといいな、と思いつつ稽古を重ねています。

テーマも、僕は初演では女性の描き方が新しいと感じたのですが、3年たった今はちょっと違った時代になっていて、女性や男性を超えた価値観をみんなが持とうとしてるんじゃないかなと。今回の再演では、そこがどう描かれるのか、興味がありました。ギリシャ神話の時代の話なので、女はこう、男はこうあらねば、騎士はこう、王はこうしなければ、という価値観のなかで生きている人たちの物語です。特に女性が抑圧されていたり、しきたりに縛られていたので、初演ではそこに意識がいったのだと思いますが、今回はその先にもっと大きなテーマが広がっている感じがします。いろんな新しい価値観を自分たちでつくっていこうという話だと思うので、奥深さをあらためて感じています。

シェイクスピア劇としての面白さも『ナイツ・テイル』ならでは。セリフが直接的な表現ではなくて、比喩が多かったり、形容詞が多かったりするので、いろんな解釈ができます。例えば、言葉では「絶対にこうするんだ」と言っているけど、本心はすごく迷っているととれるような、詩的なセリフがたくさんあります。音楽やダンスが素晴らしいのはもちろんのこととして、さらに『ナイツ・テイル』にしかない空気感というのかな。大きな森の中に入り込んだようなセットも含めての独自の世界観が、今回の再演で確立されてきたと思います。

今回は9月の大阪、10月からの東京に加えて、11月中旬からは福岡で初上演となります。3カ月で計97公演の予定。新型コロナの感染対策には万全を期していますが、今の状況だと、全部を無事に上演できるほうが奇跡かもしれないとも考えてしまいます。僕たちも、もう1年以上コロナ禍の中でお芝居を続けているので、何が起きても動じないメンタルでいるとは思います。でも、状況は刻々と変わっているし、やはり命や健康が第一なので、それは常に忘れずにやりたいし、お客さまも気をつけて見に来ていただければと思います。無事に開幕できて、すてきな舞台をお届けできることを祈っています。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第100回は9月18日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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