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上原ひろみ 世界を巡るツアーの相棒、キャリーケース

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NIKKEI STYLE

米国の名門バークリー音楽院在学中に、才能を見込まれ、2003年にアルバム『Another Mind』で世界デビューを果たしたジャズピアニストの上原ひろみさん。11年にアルバム『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』でグラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞するなど、そのクリエーティビティが高く評価されている。

自らも「地球を何周もした」と語るように、世界中でコンサートツアーを開催。旅が日常の一部という上原さんにとって、スーツケースは欠かせない相棒だ。しかしながら、「この1年半ほどは旅に出られない」と、スーツケースをいとおしそうに眺めながらつぶやく。ステイホームの日々で心に浮かぶ想いや気づきは、新作『シルヴァー・ライニング・スイート』に込めたという。

ミュージシャン仲間から薦められたキャリーケース

「『BRIGGS & RILEY(ブリッグス・アンド・ライリー)』のキャリーケースをニューヨークの特約店で購入したのは、5年以上前。ミュージシャン仲間から、使い勝手が良く、壊れてもメンテナンスしてもらえる『生涯補償』が付くと薦められたのがきっかけです。たしか……価格も大きいほうが、ディスカウントで600ドルくらい。高すぎないなと思いました。

スーツケースは、壊れにくいのが何より。ツアースケジュールがタイトだと、旅先で壊れても買い替える暇もありません。その点、このケースは2輪で布製なので壊れにくい。4輪は破損することが多く、電車内で動いてしまうので私には扱いづらいんです。パイロットの方もよく2輪のキャリーケースを愛用していますし、旅が多い人ほど2輪を選ぶのかもしれませんね。

このケースは、キャリーハンドルがケースの外側に付いているため、内側がフラット。通常のケースは、内側に背骨のような凸凹があるものが多く、詰めるのにちょっと工夫が必要ですが、このケースではタンスからそのままの形で詰められるのも気に入っています。

ほかに、大小のキャリーケースをベルトで重ねられるので、移動中に片手が空くのも便利です。持ち手の上に乗せるのではなく、亀の親子のように重ねるほうが、不思議と重量も感じにくいです。マイナスポイントをあげるなら、カラーバリエーションが少ない点。黒は汚れが目立ちませんが、赤などの明るい色があったら気分も上がるし(笑)、空港でも見分けがつけやすくていいですよね」

いつかは必ず晴れ間が出るという想いを込めた

「このケースを携えてツアーに出られなくなり、1年半以上がたちました。ただ、ずっと立ち止まっていたわけではなく、20年8月には、ライブ業界の救済を目的としてブルーノート東京で『SAVE LIVE MUSIC』というライブシリーズを開催しました。そのときはソロでしたが、第2弾の企画にあたり、今度は誰かと一緒にやりたいと思いました。

そのとき浮かんだのが、15年に共演した新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスター、西江辰郎さんです。6年前に、波長が合うなと感じ、またどこかで共演したいと思っていたので、『弦楽四重奏という形でご一緒しませんか』とお声がけしました。20年の年末から年始にかけて行ったステージは、自分が思っている以上の手応えがありました。

それで『これはちゃんと作品として残したい』と思って創り上げたのが、アルバム『シルヴァー・ライニング・スイート』です。タイトルには、新型コロナウイルス禍で苦しい状況を空になぞり、いまは雲に隠れているかもしれないけど、いつかは必ず晴れ間が出るという想いを込めました。インスピレーションは、コロナ禍で芽生えた感情です。ライブができず自宅にこもっているときも、新しいものを生み出すことが自分のエネルギーになりました。

とはいえ、感情はずっと右往左往しています。『頑張ろう』と思っていても、急きょコンサートがキャンセルになると落ち込む。何歩か前に進んだと思った矢先に、また後退するような感覚がずっと続いています。そんななかでも、自分が一番『へこたれてない』ときに、形として残せるものを作ろうとして完成させました。

カルテットとのレコーディングは素晴らしい体験でした。情熱をもってこのプロジェクトに取り組んでくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。私が作曲者でリーダー的な立ち位置ですが、いい意味で立場を越えて互いにものを言い合える関係性が築けた。それが心地よく、いい仲間に巡り合えたと胸が熱くなりました。

作品が形になると、一歩前進した実感が得られます。また、作品を録り、世界中のファンの皆さんに音楽を届けられることの重みを、ライブができていたころよりも感じるようになりました」

海外で活動するために大切なこと

「よく、海外で活動するにはどうしたらいいかと聞かれますが、『へこたれない』は、私にとって大事な感情かもしれません。『打たれ強くなること』と『へこたれない気持ち』がないと難しいと思うからです。

たとえば、日本に留学や研修で来る外国人の皆さんは、日本語を学ぶためというより、日本でしか学べないものを身につけるために、日本語が必要だから一生懸命に学ぶ方が多いですよね。漠然とした海外への憧れだけでは、キャリアを続けるのは難しい。私の場合、どうしてもここでライブをしたい。今夜のステージを全うさせるんだという強い意志が支えになってきました。

あと、『日本とは圧倒的に違う』ことを受け入れるのも大事だと思います。日本では、仮に相手がミスをしても、お互いに謝ってから次に進むという文化だと思います。ですが、米国は非常に合理的なので、謝ることは『非を認めたこと』になる。楽器が届かなかったとき、反射的に『アイムソーリー』と言ってしまうと、『謝ったのだから、あなたのミスだ』となってしまう場合がある。そういうことをごまんと繰り返していくうちに、ちょっとやそっとでは、『へこたれなく』なっていきました(笑)。

もちろん、そう簡単に割り切れたわけではなく、渡米して7~8年たってようやく自分のなかで取り扱いマニュアルが完成に近づいた感じです。マニュアルをフルで使えるようになるまでには10年くらいかかりましたね。その間、ずいぶんへこたれました。でも、それでいいと思うんです。へこたれても、『続けたい』という強い意志があれば、道はひらかれるから。一足飛びにうまくいくなんてことはありません。だから、最後に必要なのは根性(笑)。今どきはやらないかもしれませんが、私には大事なことです。

まずは、発表されているライブ日程を全うしたいと願うばかりです。ライブができない日々が続いたとき、自分にとってライブは感情をリリースする場所であり、エネルギーの源なのだと改めて知りました。ステイホームは、いわば蓄電ばかりしている状態。感情のリリースができるライブがないとバランスを取るのが難しい。いまは、根性が試されているときかもしれませんね(笑)。

また、ブルーノート東京の『SAVE LIVE MUSIC』で、ライブが必要だと思ってくださる方々がいることを間近に感じ、勇気づけられました。ツアーでそうした皆さんに会いに行き、生の音楽を届けたい。強い意志を持って、へこたれずに音楽を鳴らし続けていきたいです。

おうち時間で、関わり方が変わったモノですか? 買ったままで宝の持ち腐れ状態だった『ストウブの鍋』ですね。これまで旅から旅への日々だったので、落ち着いて料理する時間がありませんでした。ですが、多くの方と同じようにステイホームが続き、自炊をする機会がぐっと増えて。煮物や豚汁などを作るときに火の通りが早く、すごく重宝しました」

上原ひろみ(うえはら・ひろみ) 1979年生まれ、静岡県浜松市出身。6歳よりピアノを始め、同時にヤマハ音楽教室で作曲を学ぶ。17歳の時にチック・コリアと共演。2008年、チック・コリアとのアルバム『Duet』を発表。13年、米国で最も権威のあるジャズ専門誌「ダウンビート」の表紙に登場。16年4月、上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト名義のアルバム『SPARK』が、全米ジャズ・チャートで1位を記録。20年8月からはコロナ禍で苦境にあるライブ業界の救済を目的にブルーノート東京にてシリーズ企画『SAVE LIVE MUSIC』を展開している。21年7月、東京オリンピックの開会式に出演し、演奏を披露した。

『シルヴァー・ライニング・スイート』

2年ぶりとなる新作は、ピアノ+弦楽四重奏の新プロジェクト「上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット」名義。コロナ禍のステイホーム期間中に書き下ろした 4パートから成る組曲「シルヴァー・ ライニング・スイート」を筆頭に、自身のSNS企画『One Minute Portrait』で発表した楽曲などを、新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサート・マスターである西江辰郎を中心とするストリング・カルテットと競演。弦楽器と語り合い、笑い合い、踊るように奏でるピアノの躍動感に心励まされる。

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

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