上原ひろみ 世界を巡るツアーの相棒、キャリーケース

9月8日に新作『シルヴァー・ライニング・スイート』をリリースした上原ひろみさん

米国の名門バークリー音楽院在学中に、才能を見込まれ、2003年にアルバム『Another Mind』で世界デビューを果たしたジャズピアニストの上原ひろみさん。11年にアルバム『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』でグラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞するなど、そのクリエーティビティが高く評価されている。

自らも「地球を何周もした」と語るように、世界中でコンサートツアーを開催。旅が日常の一部という上原さんにとって、スーツケースは欠かせない相棒だ。しかしながら、「この1年半ほどは旅に出られない」と、スーツケースをいとおしそうに眺めながらつぶやく。ステイホームの日々で心に浮かぶ想いや気づきは、新作『シルヴァー・ライニング・スイート』に込めたという。

ミュージシャン仲間から薦められたキャリーケース

「『BRIGGS & RILEY(ブリッグス・アンド・ライリー)』のキャリーケースをニューヨークの特約店で購入したのは、5年以上前。ミュージシャン仲間から、使い勝手が良く、壊れてもメンテナンスしてもらえる『生涯補償』が付くと薦められたのがきっかけです。たしか……価格も大きいほうが、ディスカウントで600ドルくらい。高すぎないなと思いました。

スーツケースは、壊れにくいのが何より。ツアースケジュールがタイトだと、旅先で壊れても買い替える暇もありません。その点、このケースは2輪で布製なので壊れにくい。4輪は破損することが多く、電車内で動いてしまうので私には扱いづらいんです。パイロットの方もよく2輪のキャリーケースを愛用していますし、旅が多い人ほど2輪を選ぶのかもしれませんね。

「ハードタイプは、空港などで雑に放り投げられたりすると割れてしまうこともあるので、案外、ソフトケースのほうが安全なのです」

このケースは、キャリーハンドルがケースの外側に付いているため、内側がフラット。通常のケースは、内側に背骨のような凸凹があるものが多く、詰めるのにちょっと工夫が必要ですが、このケースではタンスからそのままの形で詰められるのも気に入っています。

ほかに、大小のキャリーケースをベルトで重ねられるので、移動中に片手が空くのも便利です。持ち手の上に乗せるのではなく、亀の親子のように重ねるほうが、不思議と重量も感じにくいです。マイナスポイントをあげるなら、カラーバリエーションが少ない点。黒は汚れが目立ちませんが、赤などの明るい色があったら気分も上がるし(笑)、空港でも見分けがつけやすくていいですよね」

取材に応じる上原さん
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いつかは必ず晴れ間が出るという想いを込めた