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京都発祥ホルモン千葉 白木のカウンター、焼きお任せ

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NIKKEI STYLE

小粋なホルモン焼きの店がある。ホルモン店といえば、やや薄暗い店内で、七輪に乗せた網で焼くイメージ。最近は換気を完備しているところが多いが、煙モクモクな店もまだ少なくない。

ところがこの店は、白を基調にしたカウンタースタイル。テーブル席はない。かつての吉野家のようにカウンターは馬てい形をしており、その中央に白衣を着た焼き手がいる。肉の質もさることながら、この焼き手がすべての焼きを担当してくれる。さながらすし店のようだ。

店名は「ホルモン千葉」。ホルモン好きの方なら、知っている人も多いだろう。2004年に京都市下京区に1号店を出店し、話題となる。16年7月、東京・渋谷に進出した。東京2号店の地に選んだのが新宿。それも新宿三丁目の一角だ。21年7月のこと。

新宿三丁目は、飲み屋街のイメージが強いが、この10年ほどで焼き肉・ホルモンの街に変わりつつある。「牛繁」など大手チェーンもあるが、モツ煮込みと焼きトンで知られる「沼田」が09年に、大阪の人気店「龍の巣(りゅうのす)」が16年に、そして19年には「沼田」の2号店がオープンした。

「龍の巣」は朝8時までの営業時間で、月商1800万円を超える繁盛店となった。その後、新宿1店目の新宿三丁目店の目の前にシン新宿三丁目店、18年4月には歌舞伎町区役所通り店をオープン。新宿で3店舗まで拡大した。「0秒レモンサワー」で知られる「仙台ホルモン ときわ亭」も20年にオープンしている。

「ホルモン千葉」のシステムは、ユニークだ。

まずカウンター内の焼き手がすべて調理をしてくれること。普通のホルモン店は、客が焼くが、鮮度への不安から焼きすぎることが多い。ところがプロの焼き手が焼く仕組みなら、客は火入れ具合を気にせず食べることができる。

鉄板の「秘密の穴」から落とした脂でうま味が増す!

そしてもう一つは、独特の調理システムだ。まず網ではなくて鉄板を利用する。ジンギスカン店のように中央が盛り上がったタイプではない。ただ、その一角に「秘密の穴」と呼ばれる直径5ミリほどの穴が開いている。

熱源は、炭ではなくガス。そのガス台の鉄板が客側に向かって微妙に傾斜を作っている。この店に行ったことがある方なら分かると思うが、ホルモンを焼いて出た脂を集めて黒ダレの入った器に落とし、そのタレを使って後に黒ダレシリーズのホルモンを焼き、シメの焼きそば・焼きうどんもつくる。脂のうま味でホルモンが絶妙な味わいに仕上がるのだ。

「ホルモン千葉」のホームページや店内のメニューにある説明書きをみると、創業者が「ホルモンが持つすべてを最良の条件で、しかもそのすべてを余すことなく味わってほしい」という気持ちから、こうなったということ。なので、鉄板は特注品。客に焼かせず、カウンター内の焼き手がすべて焼くというシステムは、こうして出来上がった。やや偏執狂的と言える。それが客を呼ぶのだろう。

休日の午後4時、新宿店を訪れた。初「千葉」だ。噂は聞いていたので、事前に予約し、勇んで行った。行ってちょっと拍子抜け。自分がその日初めての客だった。だが、電話した時、翌日の予約はいっぱいとのことだったので、繁盛していることは間違いない。実際、その後、カップル中心に客が続々と来た。

メニューはシンプル。タン刺し、ハツ刺しなどの「刺し」、冷やしトマトなどの一品料理もあるが、メインはホルモン。イチオシは9種のホルモンにシメの麺がついた「千葉コース」(3080円)。単品を注文するより、かなりお得だ。

前菜を食べながら待つ間に焼き手が鉄板の準備をしてくれる。最初は「コク塩」と銘打った塩ダレの5品。赤(中落ち)、マルチョウ(小腸を裏返して切ったもの)、 アブタン(豚舌)、ツナギ(首の肉)、タンコリ(喉)だ。牛と豚の混合だ。

はっきり言って、一つひとつの部位は、よく分からなくて質問したくなるが、真剣に焼いている姿をみると、あまり茶々を入れるのはどうかと思って、ノンアルコールビールを飲む。聞けば、きっと答えてくれるのだろうけどね。ある程度、火が入ってくると、ざるに入ったモヤシを大量に鉄板の手前側に乗せ、「はい、どうぞ、お食べください」と。ちなみにモヤシはお代わりし放題。

良い感じに焼けるホルモンを目の前で見せられ、「おあずけ」をくっていた身としたら、そりゃカブリつくしかない。1人前は基本、1つの部位が2切れだが、ものによっては1切れだ。最初は、1切れの赤をいく。脂身が少なめのいわゆる赤身。スジが少なく、食べやすい。

ホルモンの種類の多さと「コク塩」「黒ダレ」の絶品味に感服

それ以上に感動したのがマルチョウ。牛の小腸だ。ホルモンの王道ともいえる部位だが、この脂が本当に上品。口に含んでかむとうま味がジュワーと広がる。これは2切れ、2回楽しめる。なので、1切れ食べた後、もう1切れを食べるのを我慢して、ほかの部位をやっつけてから、最後にもう一度マルチョウをいく(おいしいものは最後に取って置く派です)。

ホルモン自体にほとんど味が入っていないが、モヤシの上に乗っけてくれる「コク塩」と呼ぶ塩ダレが絶品。ニンニクのすりおろしに塩ダレを混ぜたペースト状のものなのだが、肉に乗せれば、味が決まる。これだけ瓶に詰めて持って帰りたいほど。ご飯が進むタイプだ。

そして次に控えるのは「黒ダレ」シリーズ。アブシン(心臓)、ホホニク(コメカミ)、ホソ(小腸)、アカセン(第4胃)の4種だ。

黒ダレは、最初に用意してあり、鉄板の「秘密の穴」の下に置いてある。塩ダレを焼いている中、うま味のある脂が味噌ダレに落ちている。そこにある程度焼いたホルモンをインして、最後の味付けをする。タレは、やや黒く、甘味を感じる。創業の地、京都の味噌といえば白味噌だが、どちらかというと、中京地域の赤味噌を感じた。焼き手に聞いてみると、「味噌を含めて、いろいろな調味料が入っています」との回答。そりゃそうだ。はっきりは言わないよね。

最後は、シメの麺。うどんか中華麺を選べる。今回はうどんを選んだ。モヤシとキャベツ、そして麺を炒め、黒ダレで調味。最後にネギと卵をトッピングする。しょうゆが立った焼きうどんとは、一味違う感じだが、これはこれでアリ。生卵を潰しながら混ぜるとマイルドになる。うどんの量も1人前は半玉くらい。シメにちょうど良い。

店に行ってみて感じたのは、細かい気遣いにあふれていたこと。電話予約していたことを知っていて、席に着いたら、まず「おでんわ代」と書かれた袋をもらった。中身は5円玉2枚。電話代10円分と、「ご縁」があるようにという意味だろう。20年以上前に流行ったやり方だが、もらって悪い気はしないし、懐かしさも感じた。携帯電話や予約サイトが普及していなかった1990年代は、こうした配慮をする店がいっぱいあった。

そして精算後の帰りがけ、「千葉」と大きく書かれたタブレットタイプの口内清涼剤をもらった。これも古くからある手法だが、客の気持ちを引き寄せるツールになることは確かだ。

で、気付いたのは、入店して、店を出るまでの時間がとても短かったこと。およそ40分ほどだっただろうか。緊急事態宣言下は酒類提供が自粛となっているので、長居する客は少ないと思うが、焼き手がそのあたりの時間コントロールをすることで、滞在時間は普通の焼き肉・ホルモン店に比べ、だいぶ短いのではないか。

コースをお得な価格設定にして、そこに注文を集中させ、多くの客を回転させる。単なる「小粋なホルモン店」ではない知恵を感じた。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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