
鉄板の「秘密の穴」から落とした脂でうま味が増す!
そしてもう一つは、独特の調理システムだ。まず網ではなくて鉄板を利用する。ジンギスカン店のように中央が盛り上がったタイプではない。ただ、その一角に「秘密の穴」と呼ばれる直径5ミリほどの穴が開いている。
熱源は、炭ではなくガス。そのガス台の鉄板が客側に向かって微妙に傾斜を作っている。この店に行ったことがある方なら分かると思うが、ホルモンを焼いて出た脂を集めて黒ダレの入った器に落とし、そのタレを使って後に黒ダレシリーズのホルモンを焼き、シメの焼きそば・焼きうどんもつくる。脂のうま味でホルモンが絶妙な味わいに仕上がるのだ。

「ホルモン千葉」のホームページや店内のメニューにある説明書きをみると、創業者が「ホルモンが持つすべてを最良の条件で、しかもそのすべてを余すことなく味わってほしい」という気持ちから、こうなったということ。なので、鉄板は特注品。客に焼かせず、カウンター内の焼き手がすべて焼くというシステムは、こうして出来上がった。やや偏執狂的と言える。それが客を呼ぶのだろう。
休日の午後4時、新宿店を訪れた。初「千葉」だ。噂は聞いていたので、事前に予約し、勇んで行った。行ってちょっと拍子抜け。自分がその日初めての客だった。だが、電話した時、翌日の予約はいっぱいとのことだったので、繁盛していることは間違いない。実際、その後、カップル中心に客が続々と来た。
メニューはシンプル。タン刺し、ハツ刺しなどの「刺し」、冷やしトマトなどの一品料理もあるが、メインはホルモン。イチオシは9種のホルモンにシメの麺がついた「千葉コース」(3080円)。単品を注文するより、かなりお得だ。

前菜を食べながら待つ間に焼き手が鉄板の準備をしてくれる。最初は「コク塩」と銘打った塩ダレの5品。赤(中落ち)、マルチョウ(小腸を裏返して切ったもの)、 アブタン(豚舌)、ツナギ(首の肉)、タンコリ(喉)だ。牛と豚の混合だ。
はっきり言って、一つひとつの部位は、よく分からなくて質問したくなるが、真剣に焼いている姿をみると、あまり茶々を入れるのはどうかと思って、ノンアルコールビールを飲む。聞けば、きっと答えてくれるのだろうけどね。ある程度、火が入ってくると、ざるに入ったモヤシを大量に鉄板の手前側に乗せ、「はい、どうぞ、お食べください」と。ちなみにモヤシはお代わりし放題。
良い感じに焼けるホルモンを目の前で見せられ、「おあずけ」をくっていた身としたら、そりゃカブリつくしかない。1人前は基本、1つの部位が2切れだが、ものによっては1切れだ。最初は、1切れの赤をいく。脂身が少なめのいわゆる赤身。スジが少なく、食べやすい。