N
アート&レビュー
音楽レビュー

2014/8/11

音楽レビュー

ドミンゴ・インドヤン指揮のPMFオーケストラ演奏会(7月19日、札幌コンサートホール)=PMF組織委員会提供

そこでコンサートマスターのライナー・キュッヒルをはじめ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団からPMFの指導に招かれた教授たちが弦楽器のトップに座り、アカデミー生をけん引する措置がとられた。ウィーン・フィルの母体は国立歌劇場管弦楽団でシュトラウス自身、その音楽総監督を務めた経緯があり、シュトラウス歌劇に関しては、スペシャリストと呼べる集団だ。だがリハーサル時間が短過ぎたのか、ひとり大きな音でグイグイ弾くキュッヒルの強引なリードは空回りしがち。「アリアドネ」を初めて弾くアカデミー生は追いかけるのに精いっぱいで、管楽器ほか、しばしば脱落したのが残念だった。

今年のPMFは第25回の記念にロリン・マゼールを首席指揮者に招くはずだったが、病気でキャンセル。7月13日に亡くなったため、バイオリンでPMFに参加した経験を持つベネズエラ人のドミンゴ・インドヤン指揮、PMFオーケストラの演奏会(19日)の冒頭でバーバーの「弦楽のためのアダージョ」を献奏、マゼールに黙とうをささげた。

マゼールの代役を佐渡裕、ジョン・ネルソンの2人に委ねた結果、今年のアカデミー生は1カ月足らずの間に7人の指揮者とのリハーサル、演奏会をこなす日程となった。1回あたりの精度が落ちるのは当然で、スポンサーの確保の難しさ、財源難が指摘される中、今後は限られた指揮者による厳選されたプログラム、じっくりした指導が求められよう。

開幕の11日には札幌コンサートホールと同じ中島公園の一角に、バーンスタインの銅像(宮田亮平作)が除幕された。バーンスタインが死の3カ月前にPMFオーケストラをただ1度だけ指揮した曲目、シューマンの「交響曲第2番」をPMF出身のインドヤンと四半世紀後のアカデミー生が高らかに奏でた瞬間、レニー(バーンスタインの愛称)の笑顔を見たような気がした。

(電子報道部)

注目記事