答えと解説
正解(説明として間違っているの)は、(4)膵臓の局所で起きる病気なので、ほかの臓器に影響を与えることは少ない です。
急性膵炎とはどのような病気なのでしょうか。東海大学医学部付属病院消化器内科診療科長の鈴木秀和さんは「膵臓で作られている消化液である膵液が、なんらかの原因で逆流し、膵液が膵臓そのものを溶かそうとしてしまったときに起きます」と解説します。膵臓の局所で起こる病気ですが、比較的早期に全身の重要な臓器に障害を与え、腎不全などを引き起こすため、重症例の死亡率は高いのが特徴です。
初期症状は、みぞおちなど上腹部の痛みや不快感です。「軽症の場合は弱い腹痛を訴えるだけの場合もあるが、病気が進行すると、上腹部に激しい痛みを生じます。時間とともに痛みが背中に広がり、背中を丸めた『エビ形姿勢』をとるといくらか楽になります。吐き気を伴うことも多いですね」(鈴木さん)
では、急性膵炎はどんなとき発症するのでしょうか。膵液が逆流する原因の一つはアルコールの多飲です。特に、脂っこいものをたくさん食べた後、アルコールをたくさん飲むと、膵液が大量に分泌されたうえ、その出口に炎症が起こって膵液が流れにくくなることがあります。このほか、胆石が原因のことも。膵液の出口と胆汁の出口が一緒なので、ここに胆石が詰まると膵液が逆流してしまうのです。
「普段から酒をたくさん飲む人、脂肪の多い食事が好きな人、肥満の人などで、突然、上腹部に激しい痛みを生じたら、急性膵炎を疑ってみる必要があるでしょう」と鈴木さんはアドバイスします。
日ごろからよく「胃痛」が起きる人でも、「痛み方がいつもより激しい」「痛みが背中に広がった」など、これまで経験したことのない痛み方がある場合には、すぐに救急車を呼びましょう。
ほかにも、みぞおち(上腹部)に強い痛みが走る危険な病気がありますので、以下の図にまとめておきます。
みぞおち(上腹部)に強い痛みが走る主な病気

[日経Gooday2021年8月11日付記事を再構成]