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小芝風花 『彼女はキレイ~』キュンキュン味わって

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日経エンタテインメント!

『トクサツガガガ』(2019年)、『美食探偵 明智五郎』(20年)などのドラマでコメディエンヌとしての才能を開花させ、『パラレル東京』(19年、21年)などの硬派なドラマでも評価も高めてきた小芝風花。7月から初挑戦しているのがラブストーリーだ。人気韓国ドラマを原作とした『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)に中島健人(Sexy Zone)とW主演している。

近年、増加傾向にある恋愛ドラマ。今の時代だからこそ、ラブストーリー作品が求められていると、小芝自身も感じているようだ。

「やっぱり、みんなキュンキュンしたいんじゃないですか(笑)。コロナの影響もあると思います。私はもともと暗めのシリアスな作品が好きなんですけど、今の時期に見ると、本当に落ち込んじゃうんです。だから、何も考えずに笑えたり、感情移入してキュンキュンできるものが見たくなる。そういう意味でも、今、『彼女はキレイだった』をお届けできるのは、とてもうれしいことです。

ラブストーリーを見るのは好きで、憧れもありました。ただ、10代の頃に、あまりにも『キュンキュン』や『カワイイ』を求められてこなかったので(笑)、お話をいただいたときは、『私にできるかな』と不安がありましたね。

でも、原作のドラマを拝見したら、イッキ見してしまうほど楽しめて。台本を読んでも面白かったので、この素敵な作品で、好きな役を演じられるといううれしさが強くなりました。そしてお相手は、女性の心をワシづかみにしている中島健人さん。だから、不安な部分は彼にお任せしつつ(笑)、私がこの作品で味わったキュンキュンを、みなさんに味わっていただけるよう頑張ろうと思いました」

ラブストーリーはチーム戦

演じているのは、かつては美少女、現在は容姿も仕事も残念なアラサー女子・佐藤愛。かつては太っちょ男子、今はイケメンに成長した初恋の相手・長谷部宗介(中島)とひょんな形で再会したことから、同僚の樋口(赤楚衛二)や親友の梨沙(佐久間由衣)を含めた四角関係が繰り広げられる。

「韓国版はコメディ要素が強いかと思いますが、日本で見てくださる方が共感しやすいように、リアリティーのある範囲で作りたいと監督やプロデューサーさんに言われました。

そこで、役作りでは、赤ら顔でそばかすを濃く書かれていたメークを、リアルなそばかすとホクロを足す形に。ボサボサ髪は、パーマ表を見ながら、『やり過ぎず、こんな感じがいいね』などと話し合って決めました。お芝居は、喜怒哀楽が大げさになりすぎないように、細やかに演じられたらと思いながら、頑張っております」

取材は7月中旬、後半戦の第6話の撮影に入った頃に行った。

「前半戦は、宗介さんとかなり距離があったので、まだラブストーリーを撮っているという実感は薄いです。それでもキュンとしたのは、第3話で宗介さんに絆創膏を貼ってもらうところ。少しずつ距離が縮まっていく喜びがあって、めっちゃキュンキュンしました(笑)。台本を読んだときはキュンとしてなくても、セリフが発せられた瞬間に『めっちゃ響く!』ということもあって面白いですね。

そういうドキドキを、どうすれば視聴者の方に伝えられるだろうって、監督やキャストのみなさんと、よく話し合いながら撮影をしています。セットチェンジ中も、みんなで集まって、ずっと話しています。『ここ、どう思います?』とか、『ああしよう、こうしたい』って。私は今まで先輩との共演が多かったこともあって、現場でなかなか意見を言えなかったんですけど、今回はしっかり話し合いができて楽しいし、幸せです。

私がよく中島さんに言うのは、『キメてるときより、素っぽいときのほうが素敵です』ということなんです。普段ちゃんとしている男性の素が見えると、女子は素敵に感じるんですよね。モニターを見ながら『この角度のこの雰囲気は、みんな絶対キュンキュンします!』と話したりもします。そんなふうに言える関係性を中島さんが作ってくださっているので、本当にありがたいです」

女優のなかには、より役作りを深くするため、相手役に対してあえて一時的な恋愛感情を持つようにするタイプもいるという。初めてのラブストーリーで、小芝はどのように取り組んでいるのか。

「もちろん、好意的ではあったほうがいいと思います。例えばキスシーンって、美しく見える角度や、タイミングが大事だと思うんです。そこで話し合える関係性が重要なんじゃないかなって。そういう意味では、一緒に戦っている仲間……『戦友』っていう感じなのかな。そこから恋愛に発展していく方々もいらっしゃいますし、そういうことも素敵だなと思うけど、そのあたりは初めてだからまだ分からないですね。

中島さんとはまさに戦友のような、良い関係性が築けていると思うので、不安はないです。後半戦はラブストーリーが進むので、普段からあだ名で呼ばせていただくようにしたり、工夫もしているんですよ。きっと、本気で宗介さんを好きになっていく愛に、感情移入しながら演じられるんじゃないかなって、楽しみです」

初めての挑戦ながら持ち前の真面目さで、ラブストーリーに挑んでいる小芝。自身はこれまで、どんな恋愛ドラマを見て育ってきたのだろうか。

「子どもの頃は、『花より男子』がすごく好きでした。好きなキャラは、(小栗旬演じる)花沢類さん。私、だいたい"当て馬"を好きになるんですよ。

最近では『凪のお暇』と『逃げるは恥だが役に立つ』が好きでした。『凪』は、中村(倫也)さんの役が大好きでしたね。『逃げ恥』は、あの2人の掛け合いが最高です。テンポの良さが好きでしたね。私が好きなラブストーリーは、そこが共通している気がします。トントン、キュンッ! トーンみたいな(笑)。そういうテンポ感があると、引き込まれますね。

もしお話があれば、『花束みたいな恋をした』みたいな、どこにでもいそうなカップルを描いた、リアルな恋愛作品をやってみたいですね。だから今回、とりあえず中島さんに、『キュンキュンとは何ぞや』を教えてもらおうと思ってます」

『彼女はキレイだった』
 初恋の相手・宗介(中島健人)と再会することになった愛(小芝風花)。宗介はイケメンエリートに変貌していたが、愛は無職の"残念女子"……。親友の梨沙に身代わりで会ってもらったものの、その後、愛が働く雑誌編集部に、副編集長として宗介がやってきた……。火曜21時/カンテレ・フジテレビ系

(ライター 泊貴洋、カメラマン 中村嘉昭)

[日経エンタテインメント! 2021年9月号の記事を再構成]

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