「彩り野菜の皿うどん」

若年層、女性が入りやすい店舗

ただ、そうはいっても経営上、店舗事業の安定は欠かせない。同社では各店舗で3密回避の徹底、利用者の間隔の維持、店内の定期的な換気、入店時の手指のアルコール消毒呼び掛けなど、感染症対策を行いながら、営業を継続している。

佐々野社長は「中食や宅配、デリバリーの技術やサービスが向上しても、プロによる最高の味、享受できるサービスは店舗でなければ味わえない」と店舗の重要性を説明。同社が重視する「野菜の摂取」という観点から、「女性や、子供のいる家庭を中心とした、野菜不足への懸念に対応するため」「出荷数が減少し離農の懸念も出てきている生産者(野菜農家)と共に苦境を乗り越えるため」に、新ビジョンに基づく店舗メニューの開発が必要と判断したという。

新ビジョンは「国産野菜100%を深化させた野菜中心のメニューを開発し、野菜の『健康』と『おいしさ』を訴求する。そしてお客様に居心地が良いと感じてもらえる、さらなるサービス、クオリティーの向上を行っていく」ことで「理想の食卓」を実現するためのものだと佐々野社長。

具体的には、ちゃんぽんの枠を超えた野菜中心メニューの開発を行い、ちゃんぽん専門店からの拡大を視野に入れること、若年層、特に女性が1人でも入りやすい店舗や、将来的な顧客確保のため、ファミリー層にも利用しやすい店舗を展開することを挙げた。

ちゃんぽん脱却する野菜メニュー開発

モグベジ食堂という新しいブランドメッセージについては、1年前からリサーチを重ね、分析した結果、「強みが何かを把握するところから始めた」と佐々野社長は説明した。年明けから業績の不振について取り沙汰されることが多かっただけに、22年の創業60周年に向けてポジティブなメッセージとして発信する意図もあっただろう。

開発チームの宮内氏によれば今後のメニューは「これまで弱かった国産緑黄色野菜を使った商品、例えば現状でも季節のグランド商品があるが、そうしたメニューに新たな彩り野菜を組み合わせて販売していくというような計画がある」とした。

また、契約農家について「今回開発した新メニューでパプリカ、ジャガイモ、カボチャ、マッシュルーム、小松菜は初めての取り扱いとなるため、取引のある商社に、信頼のおける産地を紹介してもらい、原料を確認の上、調達することになった。一部は現状の契約農家だが、ほとんどが新規だ。今後、安定的に取り扱えるか調査した上で契約していく」と宮内氏は話した。さらに、佐々野社長は「産地も増えていくことが予測される」と補足した。

今後は「ちゃんぽんというジャンルにこだわって開発するのではなく、『野菜』が食べられる店としてメニューを開発していく」と佐々野社長。糖質オフなどのトレンドも踏まえ、野菜のみのメニューの展開も考えていることを示唆した。

(フリーライター 山田真弓、画像提供 リンガーハット)

[日経クロストレンド 2021年8月25日の記事を再構成]

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