平沼光・東京財団政策研究所研究員「資源として利用し尽くす仕組みを」

世界経済フォーラム(ダボス会議)で「このままのペースでプラスチックが増え続ければ、2050年には海の中のプラスチックの重量が魚の重量を超える」という衝撃の予測が公表されて5年あまり。日本でもプラスチックの資源循環を促進する新法が成立し、2022年春にも施行の見通しとなりました。新法の意義や課題、世界の資源循環の潮流について、東京財団政策研究所の平沼光研究員に聞きました。

――「プラスチック資源循環促進法」をどう評価しますか。

平沼光・東京財団政策研究所研究員

「新しい法律は製品や業界の枠を超えてプラスチックという素材に着目し、全般に網をかけました。日本が資源循環を進めていくうえで重要な一歩です」

――これまでも循環型社会形成推進基本法のもとで、自動車、建築資材、容器包装などの6本の個別リサイクル法が施行されています。資源を国内で完全に循環させ、使い切る状態に至らなかったのは、どうしてでしょうか。

「個別リサイクル法における再商品化、再資源化とは、生産者に循環利用ができる『状態にすること』を求めるにとどまっていて、『実行すること』まで求めていないからです。自動車、建築資材、容器包装など品目別に法律を分けたことで、リサイクルに向く資源が原材料に使われているにもかかわらず、6本の法律が掲げる『品目』から漏れた製品は、資源循環の対象にされないという課題もありました」

――だからプラスチック新法がつくられたのですね。資源循環のルール作りでは、欧州連合(EU)がいち早く取り組んでいますが、これで日本でも循環型経済(サーキュラーエコノミー)への転換が進みますか。

「一気に進むのは難しいでしょう。新法の関係省庁は、循環型経済への『移行』という言い方をしており、これからも課題に取り組んでいくことでしょう。EUと比較することで、日本の課題がみえてくると考えています」

――日本とEUとでは、資源循環への対応がどう違うのでしょうか。

「まず、政策の位置づけが異なります。EUにとって資源循環は単なる環境政策ではありません。むしろ、域内の技術革新や雇用創出につなげる経済成長戦略と呼ぶ方がふさわしいです。EUが率先して廃棄物を資源として再生する技術革新を進め、再生した資源でつくられた製品を流通させる仕組みを構築することで、世界の経済モデルを転換し、欧州から世界中にクリーンな製品やサービスを輸出することを狙っているのです。サーキュラーエコノミーの構築により、2030年までに18万人以上の直接雇用を創出し、EUの域内総生産(GDP)を7%増やすという試算があります。気候変動対策で先行・リードしたのと同じようなことを、資源循環でも実行しようとしているのです」

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