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プラ新法先取り PET回収で企業・自治体の連携広がる

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NIKKEI STYLE

企業と地方自治体が使用済みペットボトルのリサイクルで連携する動きが広がっています。セブン―イレブン・ジャパンは今秋から回収対象地域を拡大する予定で、キリンホールディングスも実験を始めました。2022年春の「プラスチック資源循環促進法」施行で、条件を満たした事業者は広域でリサイクルを手掛けやすくなります。新法を先取りする形で企業は環境負荷を軽減する原料調達を急ぎ、ごみ問題に悩む自治体も取り組みを後押ししています。

ペットボトルのPETはポリエチレンテレフタレートという樹脂の名称の略で、原料は石油です。日本では仕様が統一されており、リサイクル工場で何度もボトルに再生するボトル・トゥー・ボトルに向いています。ただ街中の分別回収箱にはごみを捨てる人もいて、不純物が再生の妨げになっていました。

問題解決のために登場したのが自動回収機です。ラベルが付いたままのボトルや缶を機械がはじき、再利用に適した状態のボトルだけを集めます。一方、利用者は回収機に入れたボトルの本数に応じてポイントを受け取ることができます。

セブン―イレブンは関東を中心に730台を店頭に設置。最近は川崎市と連携して増設を急いでいます。三重県のリサイクル工場が今秋稼働するメドが立ったため、下期は西日本にも広げ、22年2月末までに追加で約800台増やす計画です。

同社は店舗が立地する自治体と相談しながら回収を進め、工場で再生した樹脂は自社企画飲料のボトルに使います。現状では回収ボトルを資源として活用するには、自治体ごとに相談する必要があります。プラスチック新法では一定の条件を満たせば自治体ごとの相談が不要になり、22年度以降はさらにリサイクルに力を注ぐ方針です。

キリンホールディングスが横浜市内のローソンに設置した回収機は、使用済みボトルを逆さにして飲み口を差し込む仕様にしました。飲み残しの混入を防ぐのが目的です。回収したボトルはローソンから購入し、「生茶」などのボトルに再生します。横浜での実験結果をみて回収機の仕様を調整し、全国のローソンに設置する計画です。

大手を中心とする飲料7社は、27~30年までにペットボトル原料の再生樹脂比率を50~100%に高める計画です。市場占有率を考えればボトル入り飲料の約7割を再生樹脂で賄う必要があるとの試算もあり、現状(12.5%)を上回ります。再生した繊維を衣料に使う事例も増えており、再生樹脂の確保が課題となりそうです。

石油の節約につながる再生樹脂の調達費を抑えるには、オフィスなどから出る事業系ごみの分別も強化し、消費者が資源回収の効率改善に協力する必要がありそうです。

平沼光・東京財団政策研究所研究員「資源として利用し尽くす仕組みを」

世界経済フォーラム(ダボス会議)で「このままのペースでプラスチックが増え続ければ、2050年には海の中のプラスチックの重量が魚の重量を超える」という衝撃の予測が公表されて5年あまり。日本でもプラスチックの資源循環を促進する新法が成立し、2022年春にも施行の見通しとなりました。新法の意義や課題、世界の資源循環の潮流について、東京財団政策研究所の平沼光研究員に聞きました。

――「プラスチック資源循環促進法」をどう評価しますか。

「新しい法律は製品や業界の枠を超えてプラスチックという素材に着目し、全般に網をかけました。日本が資源循環を進めていくうえで重要な一歩です」

――これまでも循環型社会形成推進基本法のもとで、自動車、建築資材、容器包装などの6本の個別リサイクル法が施行されています。資源を国内で完全に循環させ、使い切る状態に至らなかったのは、どうしてでしょうか。

「個別リサイクル法における再商品化、再資源化とは、生産者に循環利用ができる『状態にすること』を求めるにとどまっていて、『実行すること』まで求めていないからです。自動車、建築資材、容器包装など品目別に法律を分けたことで、リサイクルに向く資源が原材料に使われているにもかかわらず、6本の法律が掲げる『品目』から漏れた製品は、資源循環の対象にされないという課題もありました」

――だからプラスチック新法がつくられたのですね。資源循環のルール作りでは、欧州連合(EU)がいち早く取り組んでいますが、これで日本でも循環型経済(サーキュラーエコノミー)への転換が進みますか。

「一気に進むのは難しいでしょう。新法の関係省庁は、循環型経済への『移行』という言い方をしており、これからも課題に取り組んでいくことでしょう。EUと比較することで、日本の課題がみえてくると考えています」

――日本とEUとでは、資源循環への対応がどう違うのでしょうか。

「まず、政策の位置づけが異なります。EUにとって資源循環は単なる環境政策ではありません。むしろ、域内の技術革新や雇用創出につなげる経済成長戦略と呼ぶ方がふさわしいです。EUが率先して廃棄物を資源として再生する技術革新を進め、再生した資源でつくられた製品を流通させる仕組みを構築することで、世界の経済モデルを転換し、欧州から世界中にクリーンな製品やサービスを輸出することを狙っているのです。サーキュラーエコノミーの構築により、2030年までに18万人以上の直接雇用を創出し、EUの域内総生産(GDP)を7%増やすという試算があります。気候変動対策で先行・リードしたのと同じようなことを、資源循環でも実行しようとしているのです」

――EUにとって、廃棄物は「ゴミではない」と。

「そうです。大半の廃棄物はお金を払って取引する資源と位置づけています。リサイクル事業者は廃棄物を広域から大量に集め、徹底的に分別することで、再利用できる鉱物などをメーカーに卸したり、工場で再生処理したりします。すべての分野の生産者がリサイクル業者の活動に協力することで規模の経済が働き、リサイクル事業がなりわいとして成立するのです。欧州にはヴェオリアやスエズなど巨大リサイクル事業者が育っています」

「日本では品目別のリサイクル法のもとで、製品の生産者が廃棄物の処理に関する責任を負う方式を採用しています。廃棄物回収から選別は各産業の専門事業者が担い、廃棄物処理から販売は廃棄物処理業者が担うというように細分化されています。再利用できる資源を集めても量や行き先が限られてしまいます」

――使用済みプラスチックについては、容器包装リサイクル法の対象などを除けば、日本では廃棄物として燃やして処理する量が多いですね。いわゆるサーマルリサイクルです。

「日本では再利用やマテリアルリサイクルが十分に行われずに、焼却されたり海外に輸出されたりしてきました。ところがバーゼル条約の改正や新興国の政策転換により、廃プラスチックの輸出は行き詰まっています。日本はまずサーマルリサイクルから脱却しないといけません」

「EUでは焼却処理はどうしても再利用できないときの最終手段でしかありません。EU主導のルール作りにより、焼却処理しかできない素材・設計の製品はグローバル市場で売れなくなる懸念があります。日本でもあらかじめ廃棄物の管理・処理に関する優先順位を明確に決めておき、設計段階から、後々も資源として利用し尽くすための仕組みをつくる必要があります」

――製品を使い終わった後、資源を取り出して国内で繰り返し利用できるようになれば、海外の資源国との関係も変わるかもしれませんね。

「地中に埋蔵された天然資源に乏しい日本は、資源を輸入に依存せざるをえず、供給が不安定になったり価格が高騰したりするたびにおびえてきました。資源を再生・循環させるサーキュラーエコノミーに転換できれば、資源エネルギーの海外依存から逃れられるチャンスです」

――国際標準化機構(ISO)でも欧州主導でサーキュラーエコノミーの国際標準化を構築する作業が始まっているそうですね。日本企業が世界でビジネスをしていくには、どうしたらよいでしょうか。

「ISOでは実績を積んでいる国や人物の意見が通りやすい傾向があります。日本も早急に官民で資源循環を実践し、発言力をつける必要があります。そうしないと、再生資源の使用比率が一定水準を超えない日本製品は海外では売れなくなるという可能性も否定できません」

(毛利靖子)

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