お笑いコンビのオズワルド 次の目標は『M-1』優勝
ワイシャツとサスペンダー姿がトレードマークのオズワルド。2019年、20年と2年連続『M‐1グランプリ』でファイナリスト入りし、7月には若手芸人の登竜門『ABCお笑いグランプリ』で優勝を果たした。最近はネタ番組のほか、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)や『アメトーーク!』(テレビ朝日系)といったトークバラエティでも活躍を見せている。
テレビで披露するネタは漫才が中心。淡々としたテンポ感が特徴で、過去2回の『M‐1』決勝では、「先輩を立てるにはどうしたらいいか」「改名をしたい」といった会話を糸口に畠中悠が飄々(ひょうひょう)とボケ続け、それに翻弄される形で伊藤俊介がオリジナリティーあふれるワードを交えながらツッコむ漫才で会場を沸かせた。
11年に吉本総合芸能学院(NSC)の同期として出会った2人は、お笑い芸人を目指したきっかけをこう話す。
「中学生の頃に『爆笑オンエアバトル』を見ていて、タカアンドトシさん、チュートリアルさん、アンタッチャブルさんが好きだったんです。高校卒業後に1回就職しましたが、働くのが嫌になって、そのときにやっぱりお笑いをやってみたいなと」(畠中)
「小学3、4年生の頃に見ていた『ごっつええ感じ』からなので、入り口はダウンタウンさんです。ただ、その頃はお笑い芸人になりたいとまでは思っていなくて。その後、20歳の頃にヒップホップをやっている地元の先輩の前座で漫才をやったんですが、しゃれにならないくらいスベって、悔しすぎて2年後にスベった奴と一緒にNSCに入りました」(伊藤)
入学当初はそれぞれ別のコンビを組んでおり、先に畠中が解散してピンで活動することに。数年後に伊藤のコンビも解散し、伊藤から声をかけて14年に結成した。
漫才のスタイルや衣装には変遷があり、先輩芸人のアドバイスを積極的に取り入れることで確立してきた。「最初はダブルボケみたいな感じでやっていたんですが、スタイルで悩んでいたときに、ダンビラムーチョの原田(フニャオ)さんに『伊藤は絶対ツッコミだよ』と言われて変えました」(伊藤)、「衣装は、僕がジャケットを着て伊藤だけがサスペンダー姿だった時期に、ゆったり感の中村(英将)さんに『どっちもサスペンダーにしたほうがいい』と言われたのがきっかけ」(畠中)。いろんな人の意見を聞けるのは、「劇場でのライブの本数が多い吉本の強みかもしれません」(畠中)と語る。
伊藤の妹は女優、芸人4人でルームシェア
トーク番組で頭角を現してきた伊藤は、5月放送の『アメトーーク!』の「キャバクラボーイ芸人」でも明かしたように、キャバクラに勤めていた10年の間にトーク力を培ったそうだ。「目上の人にツッコむところがお笑いと似ているんです。どのへんまでいったらキレられるか、声をかけるタイミングや声の大きさ、あらゆることが役に立っている」(伊藤)という。
伊藤はこれまで、女優の伊藤沙莉を妹に持つことや、蛙亭のイワクラら芸人4人でルームシェアをしていることを取り上げられる機会が多く、コンビをけん引する役割だったが、一方の畠中も今年3月に『松本家の休日』(ABCテレビ)の企画で優勝。6月には『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)でスポットが当たるなど、最近はコンビそろってキャラクターが浸透してきた。
理想の芸人像は「『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK総合)みたいな番組を持つこと。旅をしながらゆっくりしたいです(笑)」(畠中)、「おしゃべりで面白い人になりたい。自発的な笑いは畠中のほうが得意で、僕は基本的に受け身なんで、何かを言われたら確実に笑いで返せるようになりたいです」(伊藤)。目標は「『M‐1』優勝」と声をそろえ、伊藤は「それがかなったら余裕が生まれると思うので、コントだけの単独ライブなどにもチャレンジしたい」と語った。
漫才とトークの実力は折り紙付き。今年の『M‐1』の行方はもちろん、賞レース以外での飛躍にも期待できそうだ。
(ライター 遠藤敏文)
[日経エンタテインメント! 2021年9月号の記事を再構成]
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