必要とされるシニア人材になるために

先に挙げたような前提を頭に入れたうえで、さらに職業人生の最終期に、世の中に必要とされ、活躍できるシニア人材でいるためにできることは何があるでしょうか。

大企業を退職して50、60代になっても社会の第一線で活躍している人は、数多くはありませんが、多様な業界や職域にいます。それらの人に共通することを含めて、2020、30年代に活躍できるシニア人材のポイントを共有したいと思います。

(1)自分の身の回りのことは自分でできる

あまりにも身近な話ですが、たとえばパソコンやスマートフォンの設定や、エクセルを使った簡単なデータ処理、スケジュール管理や日程調整、経費精算など、仕事をしていく上で必要なことは自分でできる力は必要です。もともと大企業の重役だったシニアで、昔は秘書にすべて任せた人でも、ゼロから自分で勉強して日常的にこなしています。

(2)新しいデバイスやウェブサービスを使いこなす

オンライン会議ツールやビジネス用クラウドサービスなど、日々働く環境は進化しています。細かいことのようですが、これらのツールを使いこなさないと、連絡や情報が途絶していきます。周囲の変化に合わせられなければ、相手側に自分に合わせることを強要しているのと同じ意味になってしまいます。

(3)気張らず威張らず、一兵卒として働く意識

ダイバーシティー(多様性)をはじめとして、ビジネスの現場はどんどんフラット化が進んでいきます。過去の職歴や役職は横に置いて、老若男女に関係なく、協働性高く働ける資質も不可欠です。

(4)過去の成功・失敗体験を否定できる

「昔はこうやって成功した」「以前同じことをやってダメだった」――。社会人経験が増えるほどに成功体験や失敗の記憶が累積していきます。しかし、時代や環境が変わると、必ずしもその法則は当てはまりません。自分の中の体験にしばられずに、新しい時代に向き合えるかどうかが問われます。

(5)雇用形態や役割にこだわらない

社会人としてのベテランを迎える側が最も気にすることの一つが待遇です。スタートアップや中小企業では、正社員で高い年収を払って受け入れる余地がない企業も多いのが実態です。活躍できる場所を得ることを目的にするなら、働き方や収入については柔軟である必要があります。

(6)若手社員の自然なメンターになる

これみよがしに世話を焼くわけではなく、特に経験の少ない若手社員にとって“心の非常口”になるような存在感を持てると、ベテランとしての意味が出てくることがあります。コミュニケーション上のトラブルへの対処などで、不要なロスを回避できると信頼度も高まります。

これらのポイントを押さえておけば、シニア人材として活躍できる可能性が広がります。いきなりすべてを身につけるのは大変なので、早いうちから意識やスキルを、新ステージに向けて整えていくことをおすすめします。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。「Career Release40」 http://lucentdoors.co.jp/cr40/ 「Can Will」 https://canwill.jp/

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