「法政二高(法政大学第二中・高等学校、川崎市)に入学しアメフトを始めた頃は、世の中がDCブランドブームに突入して、丸井のバーゲンに並んだこともあります。ですが、法政の先輩たちは断然アメカジで、それがカッコよくて徐々に傾倒していきました。リーバイスの501にヘインズのTシャツ、靴はK-SWISSといった着こなし。寒いとブルゾンのMA-1(米空軍のフライトジャケット)とかアビレックスのB-3(ムートンフライトジャケット)を羽織るのがはやっていました。大学でもアメカジで、それが今の装いにつながる原点かもしれません。アメリカの服は着やすくて、実用的。ジーンズは脱ぎっぱなしでOKで、学生服のズボンのように、毎日ハンガーにかける必要がありません」
「おしゃれ」より「カッコよく」
――機能的でしかも、シンプルです。
「アンダーアーマーと出合った後は、重ねる、盛るおしゃれはまったくしなくなりました。シンプルな服を着こなせる、そういう自分でありたいし、僕らが販売している服もできるだけシンプルに作っています。着飾るならば、中身がちゃんとしていないといけない。着飾ることでごまかすのは違うと思います」

――シンプルな服ならば、それだけ、体そのものにも気を使う必要がありそうです。
「ライフスタイルがどんどんアクティブになり、健康への関心が高まっています。僕はいま、高齢者の姿勢がものすごく気になるんです。姿勢が良い、それだけで服が似合いますし、若々しく見えます。姿勢をよくするライフスタイルを歩んでいる人は、カッコいいんですよ。レストランでおしゃれが分かっているな、すてきだなと思った人が、立ち上がったときに首が前に出て、背中が丸まってしまうと、途端にカッコ悪くなっちゃう。ライフスタイルに服が合っていないんです。ライフスタイルが健康に寄っていくとカジュアルな服や、さわやかな色づかいが似合ってくる」

――体形や姿勢は努力で改善できますよね。
「日本人のライフスタイルで考えると、まだ服を着てごまかしていることが多いと思います。僕は一般にいう、おしゃれではありません。でも、自分が一番カッコいい、と思っています。だからこういう格好をしているんです。ストレスがない生活を送り、健康的な生活をしている人は、一般的には薄着です。重ねたって、カッコよくはならないよ、というのが、僕が言いたいことかな」
(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)
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