「返事」編 自分の感情に流されすぎずに応答を
×要するに何が言いたいの?
○一番言いたいことは何?
話す内容に優先順位を付けてもらう
話が長い相手にイライラして、つい言ってしまいがちだが、関係が悪化するだけ。「一番言いたいことは何?」「10分程度で説明して」と最初に提案するのが、お互いのため。
×なるほど、なるほど
○そうなんですね
「なるほど」の連呼は人ごとのように思われる
相づちに便利な「なるほど」は連呼するほど、上の空のような印象に。「『なるほど』よりも、『そうなんですね』のほうが相手への共感が生まれ、誠実な印象を与えられます」。
×分かる分かる
○(あなたは)そう思ったんですね
「同感」ではなく、「共感」の返事をする
安易に「分かる」と同感を示すと、相手に依存される心配が。「同時に、依存されると、相手の『どうして分かってくれないの』といった攻撃対象にもなりやすいので要注意。共感の返事を心がけて」。

「自己主張」編 相手を尊重する気持ちを忘れずに
×それはやめたほうがいい
○こういう理由で私はこうしたほうがいいと思う
人に押しつけるだけに終始しない
親切のつもりでも、「やめたほうがいい」という断言は主観の押しつけ。「〇〇だから、私はこうしたほうがいいと思う」なら自分の意見となり、余計なお世話と思われない。
×こんなこと言いたくないんだけど
○気になっているので伝えておくね
相手が素直に耳を傾けるフレーズをマスター
威圧感があり、相手を見下した言い方はパワハラになりかねない。「本当に忠告したいなら、相手が素直に聞けるように『気になっているから』『相談して』と、明るく伝えて」。
×私はそんなこと言ってません
○私はこのように認識していました
トラブル解決には「言い訳」ではなく「説明」を
トラブルの際はお互いに自分が正しいと思い、「言った」「言わない」の話になりがち。「『言ってません』と開き直ると、言い訳に聞こえます。きちんと事実関係の説明を」。
自分の正当性や潔白を証明したいあまり、「私は言っていない」などと言うのは、相手に責任転嫁しているに等しい。「お互いの事実関係を把握し、冷静にトラブルに対処して」。
×結局、こういうことですね?
○こういう理解でいいでしょうか?
話の途中で強制終了させない
人の話を遮って、「結局」でまとめるのは、「話が長い」「要点が分からない」と言っているようなもの。「話をまとめるなら、『こういう理解でいいですか』という確認に」。
話が長い人には、「結局」などと言いがちだが、これは上から目線の言葉。自分の解釈が相手の意図と違うかもしれず、話を強制終了された側には、フラストレーションもたまる。
「注意」編 ハラスメントにもつながりやすい
×こうするべきだよね
○こうしてください
「べき論」を振りかざさない
「〇〇すべき」は主観の押しつけだけではなく、パワハラ、モラハラになりかねない。「べき論は言った本人も追い詰めます。〇〇してくださいと、穏やかに伝えるのが賢明」。
×なぜ連絡してくれなかったの?
○困っていたから連絡してほしかった
自分視点のメッセージを
「なぜ」には、相手が自分の思い通りにならない怒りが含まれる。「高圧的に出ると相手を傷つけ、反対に逆ギレされる恐れも。自分はどうしてほしかったかを素直に伝えて」。
×やる気あるの?
○パフォーマンスが低いように見えるけど、何か困っている?
気遣いは自分の視点で
たとえ相手にやる気がないのが事実だとしても、責める口調は逆効果。先に「パフォーマンスが低い」という事実+次に「困っている?」という自分の感情を伝えて、気遣いを示そう。
この人に聞きました

(取材・文 三浦香代子)
[日経ウーマン 2021年4月号の記事を再構成]