<膝関節の痛み予防>

太もも~膝の前面ストレッチ(大腿四頭筋~膝蓋靭帯)

壁やイスなどで体を支え、反対側の手で足を後ろへ折り曲げて手でキャッチ。お尻に近づけて太ももの前面が伸びるのを感じながら10秒×2セット。

私もやってみた。膝はもちろんだが、思っていた以上に太ももの前側がジンワリと伸びる。普段は意識していなかったが、太ももの前も動かさないと縮こまるものだと実感。

ただ、運動不足の身ではバランスを崩しやすいので、寝そべった状態で行うのも良いだろう。

――平泉医師「太ももの前側(大腿四頭筋)と膝の前面(膝蓋靭帯)はつながっているので、同時に伸ばすことで膝の柔軟性を取り戻すことができます。運動の前だけでなく、普段から気づいた時に伸ばしておけば、急に走った時や長距離を歩いた時にも膝を守ってくれますよ」

アキレス腱を守るためのストレッチ

「アキレス腱の痛み」は想像しやすい。体育の授業の準備運動でも、「アキレス腱を切らないようによく伸ばしておきましょう」とよく言われていた気がする。

――平泉医師「『腱』は、骨と筋肉をつなぐバネの役割をしています。中でもアキレス腱は、かかとにかかる荷重の調整役。ジャンプや走る際に重要になってきます」

箱根駅伝の選手が走る様子を撮影したことがあるが、ほとんど地面に足がついていないように見えた。

――平泉医師「特にトップアスリートは腱のバネの力(張力)を使って飛び跳ねるように走ることで効率的に推進力を発生させています。バネの強度を上げ、ケガをしないためにも、バネとしての腱の柔軟性は大切なのです」

アキレス腱が切れやすい人もいるのだろうか?

――平泉医師「運動不足だと、アキレス腱の柔軟性が落ちてバネが弱くなっています。そのため、急に運動を始めるとアキレス腱周辺に炎症を起こしやすく、アキレス腱線維が部分的に切れやすくなるので注意が必要です」

早速、アキレス腱を守るためのストレッチを教わった。

<アキレス腱の痛み予防>

階段つま先立ちストレッチ(カーフレイズ)

階段などで壁や手すりに手をついてバランスをとり、ステップにつま先をのせてかかとを下げて10秒キープ。続いてつま先立ちで10秒キープ。これを2セット。続いて、歩くように左右交互にかかとの上げ下げをすれば、さらにほぐれやすくなる。

私もやってみた。アキレス腱はもちろんだが、デスクワークで凝り固まったふくらはぎまで伸びて気持ちが良い。

――平泉医師「このアキレス腱伸ばしと膝や太ももの前を伸ばすストレッチを普段から心がけていれば、運動時の故障を防ぐだけでなく、ランニング時にバネの効いた効率の良い走りができるようになるはずです」

トップアスリートさながらに飛ぶような走りができるのであれば、ぜひ毎日のストレッチ運動として取り入れたいものだ。

次回は故障トップ3のもう1カ所「股関節」について解説いただく。

(イラスト 平井さくら)

[日経Gooday2021年8月30日付記事を再構成]

平泉裕さん
昭和大学医学部整形外科学講座/スポーツ運動科学研究所 客員教授。医療法人社団輝生会 成城リハケア病院 病院長/整形外科/スポーツクリニック。1982年昭和大学医学部卒業、87年医学博士。2002年同大学医学部整形外科学教室助教授、07年同准教授、13年同教授、16年より現職。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本リハビリテーション医学会専門医なども務める。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。

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