英語も営業も嫌いなのに外資で活躍 SaaS伝道師の挑戦

ジャパン・クラウド・コンサルティングの福田康隆社長
ジャパン・クラウド・コンサルティングの福田康隆社長

定額課金制のサブスクリプションモデルを導入してサービスを展開する企業が相次いで登場している。クラウド経由で業務ソフトを提供するSaaS(サース)の普及が背景にある。企業向けクラウドサービス大手のセールスフォース・ドットコムで日本企業にSaaSの導入を促し、「営業プロセス改革を仕掛けた男」として知られるジャパン・クラウド・コンサルティング(東京・港)社長の福田康隆さん。もともと営業も英語も嫌い、「出世もしたくない」と考えていた福田さんは、なぜ「SaaSの伝道師」となったのか。

「いろは」学んだセールスフォース時代

「セールスフォース・ドットコムという米国の会社を知っているか」。2003年夏、日本オラクルの米国駐在員だった福田さんは、同社元会長の佐野力さんから唐突にこう切り出された。

1999年にマーク・ベニオフさんが創業した企業向けソフト会社だが、その存在すら知らなかった。ベニオフさんは元オラクル幹部の佐野さんの盟友だった。「あいつはすごい男だ。必ず成功する。オラクルを辞めて、そこに入らないか」と佐野さんは無名のベンチャー企業への転職を勧めた。半信半疑だったが、米国に戻ってベニオフさんと会った。そこで「ソフトを民主化する時代が来る」という言葉に引かれた。

当時は業務ソフトの初期導入に、膨大なコストと時間がかかった。しかしセールスフォースは、インターネットに接続するだけでソフトを便利な「サービス」として手軽に使うSaaSモデルを構築し、企業向けに顧客情報管理(CRM)システムを提供するクラウドサービスを手掛けていた。大企業のみならず、中小企業でも低コストでソフトの利用が可能になるものだ。

04年春に米セールスフォースに入社。研修を受ける過程で、SaaS型のCRM導入は、日本企業の営業プロセスの抜本的な改革につながることに気づいた。従来の日本型の営業は、顧客の開拓から訪問、サポートまですべてを担った。しかしセールスフォースでは、ネットを活用して顧客や市場を開拓するマーケティング、訪問せずに内勤で顧客と接点を持つインサイドセールス、顧客を実際に訪問するフィールドセールス、そしてネットを介して顧客の満足度を高め契約更新につなげるカスタマーサクセスという「営業の分業体制」の必要性を強調していた。

福田さんは「日本のメーカーは生産プロセスの管理では世界でトップクラス。しかし営業は昔のままで、足で稼ぐ非効率的なモデルだ。セールスフォースで日本の営業のやり方を変えたい」を考えるようになった。1年間、米本社で営業プロセス改革について学んだ後に、日本法人に移った。

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