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スマートフォンやタブレットも使い方次第で有力な学習用ツールになる(写真はイメージ)

スマートフォンやタブレットも使い方次第で有力な学習用ツールになる(写真はイメージ)

政府が重要政策と位置づけるデジタル化戦略。「デジタル庁」の創設やDX(デジタルトランスフォーメーション)が脚光を集め、官民でデジタル化推進の機運が高まっている。教育界でも2020年に小学校でプログラミング教育が必修となったことに加え、新型コロナウイルス感染対策としてオンライン教育導入の必要性が叫ばれている。

本書『賢い子はスマホで何をしているのか』は、デジタル化時代を見据えた日本の教育界に一石を投じる一冊だ。幼児期から子どもがスマートフォンやタブレットに親しむようになった昨今、親世代はこれらデジタル機器と子どもの教育にどう向き合えばいいのか。教師が書く黒板の文字を、生徒が鉛筆やノートで書き取る長年続く学習のあり方はどう変わるのか。教育のデジタル化を浸透させようと活動を続けてきた著者が、自身の経験やこれまでの豊富な活動事例をもとに提言を試みている。

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著者の石戸氏

著者の石戸氏

著者の石戸奈々子氏は、NPO法人CANVAS代表で、慶応義塾大学教授。小中学生のためのワークショップを全国で開催し、特にプログラミング教育など教育界におけるデジタル化推進に力を入れています。学生時代は東京大学工学部でロボットを研究し、卒業後はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ客員研究員を経て、2002年にCANVASを設立。その後、学習用アプリの開発などを手がける会社、デジタルえほんを立ち上げ、自ら代表を務めるなど幅広い領域で活動しています。主な著書に『デジタル教育宣言』『日本のオンライン教育最前線――アフターコロナの学びを考える』があります。

「デジタルVSアナログ」で語られる教育界

子どもにスマホを与えていてはダメ――? かねてこうした議論は繰り返されてきました。古くはテレビの前に子どもをそのままにしておいては子どもの教育に良くない、次にゲーム機が台頭すると、子どもにゲーム機を使い続けさせるとゲーム依存になる、といった批判が繰り返され続けてきました。そして、今度はスマホ。著者によると、スマホは悪者扱いで、子どもにスマホを使わせることに対してネガティブに評価する声があるといいます。

大事なことは、これら機器本体ではなく、子どもと親との関わりなのに、「新参者」である機器自体に批判の矛先が向かうことに、著者は違和感を感じています。スマホは通話だけでなく、インターネットへの接続、音声や画像のやりとり、多様なアプリなど、テレビやゲームに比べて幅広い使い方ができる万能な携帯機器です。にもかかわらず、それが、こと教育界では受け入れられない。うまく使えば万能な学習用ツールになりえるのに……。著者の問題意識はそこにありました。

本書は、デジタル化時代を見据えた教育のあり方を指し示す提言書です。大学を卒業後、MITメディアラボで研究員として務め、子どもの創造性を引き出す数々のアプローチに刺激され、帰国してNPO法人を設立。その後、小中学生向けのワークショップを開催したり、デジタル化を教育界に促したりするなど、活動の幅を広げています。その教育界で有識者との議論でぶつかるのが「デジタルVSアナログ」の一大紛争でした。

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