デジタル化時代の基礎教育は「読み、書き、プログラミング」

以前はよく「読み、書き、そろばん」と言われました。これだけパソコンやスマホが普及している時代で、計算でそろばんの能力の有無が必ずしも問われることはなくなりました。それよりも新たに、パソコンやスマホ、タブレットを駆使し、子どもの創意工夫を引き出せるプログラミング教育との向き合い方を考えるべきです。本書の第2章「プログラミング教育のホントの意味」、同じく第3章「『一歩進んだ子』はデバイスをこう使う」では、著者が手掛けたプログラミング教育を使ったワークショップで、小中学生が自ら開発した、お手製の教材の事例の数々が紹介されています。教育におけるデジタルの強みとは何かについて、著者は「創造、効率、共有」と指摘しています。

出発点は、シンプルに何かを「楽しい!」と思うことです。でも、没頭すればするほど、学びの幅が広がり、深度も深まっていく。そうなると、本人は自発的に「もっと学びたい!」と考えるようになる。
(第2章 プログラミング教育のホントの意味 101ページ)

子どもの好奇心を引き出し、創造性を高め、それを時にはインターネットで国内外の人とやりとりできる有用なデバイスとアプリ。デジタル・アナログの二項対立を避けて、むしろそのメリットを統合して行く先に、デジタル化時代の教育があるように感じます。

◆編集者のひとこと 日本経済新聞出版・長沢香絵

大人になれば誰もがスマホを持ち、PCで仕事をする時代。なのに、子育て現場ではいまだにスマホは“悪者”扱いされがちだし、昔と変わらずノートと鉛筆を使っている。いまの子どもたちが社会に出る10年後20年後はさらにデジタル化が進むことは自明なのに、なんだか違和感があるような……。そんな素朴な疑問から、デジタルと子どもの距離を考えるこの企画がスタートしました。

著者の石戸さんは、20年ほど前にデジタル教育の可能性に目をつけ、日本でその普及を推進してきた第一人者。学校でプログラミング教育が必修化されるまで、古い価値観の残る教育現場にデジタルの有用性を理解してもらおうと長年にわたり取り組んできた方です。

「デバイスを使えば、子どもたちの創造性を養うことができる」というその理由が、本書を読めばわかるはず。子どもの未来を考える方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。

賢い子はスマホで何をしているのか (日経プレミアシリーズ)

著者 : 石戸 奈々子
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 990 円(税込み)

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