私はCANVASというNPOを立ち上げた2002年から、新しいテクノロジーを使って子どもたちの創造力や表現力を高める活動を続けてきました。
その一方で、その活動を国のレベルにまで広げるために、デジタル教科書やプログラミング教育の導入を目指し、政府の委員などもつとめてきた。NPOの活動だけでは限界があると感じたからです。
その過程で多くの有識者たちと協議したのですが、議論になる前に終わってしまうことが多くて疲弊しました。
これからの教育にはデジタルが重要だと言うと、必ず「じゃあ、アナログは要らないのか!」と反対される。いやいや、デジタルにもアナログにも一長一短があるから、ケースバイケースで使い分ければいい話です。アナログを全否定しているわけじゃない。
アナログにだって短所があるという点を見ずに、新参者のデジタルだけ「うさんくさい」と否定するのは不自然だ、と言っているのです。
(プロローグ 子どもにスマホは悪ですか? 10~11ページ)

3歳児の半数がスマホやタブレットを操る時代に

子どもの好奇心はすごいなあ、とつくづく思わせられることがあります。もうすぐ4歳になる長男も、発語はまだおぼつかないのに、スマホを実によく扱います。誰が教えたわけでもないのに巧みに指を動かし、動画サイト「You Tube」にアクセスして、自動車の玩具を取り上げたコンテンツを好んで見ています。最近、長男を車に乗せてドライブしたのですが、教えてもいないのに見事に車名やメーカー名をぴたりと当ててみせ、驚いたことがありました。興味のあることについて、子どもの「学習」ぶりは飛躍的です。きっかけは長男が妻にねだって使うスマホでした。

内閣府の2017年の調査によると、6歳児の70%がスマホやタブレットなどインターネットにつながる何らかの機器をもっており、そのうち74%は一人で機器を操作できると答えています。
2020年の別の調査では、インターネットを利用している子どもは、3歳で50.2%、5歳で68.9%、7歳児で79.9%。3歳児ですら半分が利用する時代になったのです。
だとすれば、スマホやタブレットを学習ツールとして使わない手はありません。もちろん「スマホに丸投げ」ではなく、ときには親も一緒になって楽しむ。面白いコンテンツであれば、親子の会話も自然と増えていきます。
(第4章 子どもとスマホのいい距離感とは 162~163ページ)
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デジタル化時代の基礎教育は「読み、書き、プログラミ