働く姿勢が真逆 似て非なるカスタマーサポート

――向き・不向きはありますか。

「大きな金額の案件を受注して終了という『一獲千金』スタイルが主になっている営業の人は向かないかもしれません。逆に、ノルマをこなすために商品を売ることが苦手と感じている営業職の人にも、チャンスがあると言えるのではないでしょうか。カスタマーサクセスは強引な提案をしてかえって解約を招くということは避けなければなりません。多くの顧客に伴走しながら、長く関わっていくことに喜びを見出せる人に向いていると言えます」

「似た名前の職種に『カスタマーサポート』がありますが、カスタマーサクセスは能動的・主体的にコミュニケーションをとって顧客の満足度を高めていくのに対し、カスタマーサポートは顧客から問い合わせがあって初めて仕事が生まれます。受動的な姿勢がしみついてしまっていると、すぐに活躍するのは難しいかもしれません。名前は似ていても、真逆の働き方になります」

――今後もこの職種は増えていくでしょうか。

「間違いなく増えていくでしょう。SaaS市場はまだまだ拡大の余地は大きいです。デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためにも、これからもSaaSを利用する企業は増えると見込まれます。利用者が増えれば増えるほど、カスタマーサクセスは必要になります。サービス拡大期に入ると業務に関するノウハウが蓄積されてきて、未経験者を採用して育てるという企業が増えるでしょう」

「SaaSは経理や法務、人事といった『ホリゾンタル』、つまり水平的にどの業界でも必要とされるサービスを中心に広がってきましたが、特定の業界に向けた『バーティカル』なサービスも伸びてきています。それぞれの業界に固有のアナログな慣習を解決しようとするもので、一例として医療業界におけるカルテの電子化が挙げられます。そうした特定業界での営業経験も、今後は転職時の武器になるでしょう」

酒井真也
 リクルート HRエージェントDivision。インターネット領域の企業への採用支援をスタートアップから大手まで約10年担当。現在はインターネット・金融営業部 カスタマーサクセスグループのマネジャー。

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

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